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このバイクに注目
HONDA
CBR250R
1988~1989model

CBR250R(MC19)は美しいレプリカのデザインと共にワインディングが楽しい高いハンドリングポテンシャルに熟成されていた!【このバイクに注目】

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CBR250カムギアトレーンが3世代目でレーシーなデザインへ変身!

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ホンダは1986年、水冷DOHC16バルブの4気筒に、GPマシン専用メカニズムと謳われた伝家の宝刀カムギアトレーンを採用したCBR250F(MC14)を発売した。
それは250cc4気筒モデルとして、スズキのGS250FWに遅れること3年、1985年のヤマハFZ250フェザーにも先を越されていたのだ。
そもそもホンダでは1982年に水冷DOHC4バルブ90°Vツイン、VT250Fが衝撃的なデビューを果たし、爆発的な人気となっていたこともあって社内で4気筒を投入する効果を疑問視する声もあったほど。

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そこでDOHCを一般的なチェーンではなく、ギヤだけを連結してDOHCを駆動するカムギアトレーンという量産車では考えられない高度なハイメカを採用、ホンダにしかできない高度なスポーツバイクをアピールしたのだ。
ただハーフカウルだった初代CBR250FOURは、ライバルがよりレーシーな方向へと刺激を強めるのに対抗、翌1987年に4気筒CBRシリーズ共通のエアロフォルムを纏い、CBR250R(MC17)へとモデルチェンジ。
ところがライバルが次々とさらにレプリカフォルムとなるのに触発され、翌年の1988年にこのCBR250R(MC19)へとフルモデルチェンジしたのだ。

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エンジンは初代CBR250FOURから大きく変わらず、一番右側気筒の外をクラッチへの1次減速から取り出してカセットに収めたギヤ連結でDOHCを駆動。
チェーン駆動では急激な回転上昇で外周が遠心力で膨らみ、正確なバルブタイミングが危うくなるリスクがあるのに対し、ギヤ駆動では20,000rpm以上の超高回転域でもその心配は皆無という違いがある。
4気筒は親指と人差し指でつくるOKサインほどしかない48.5mmの小さなボア径と、33.8mmの超ショートストロークによる精密エンジン。まさにこれにふさわしいメカニズムだ。
またMC19となったCBR250Rは、DOHCのバルブセンターを排気側へ僅かオフセットし、シリンダーの縁に当る吸入気をより燃焼室へ送り込む効果を与えるというまさにレーシング・エンジン並みに緻密な改良を加えていた。
加えて6リットルの大容量エアクリーナーには、上方に吸気のサウンドダクトを設け、ライダーへ吸気音を聞こえやすくする演出を加えるほど、カムギアトレーンのメカ音と共にホンダ4気筒ファンの心をくすぐり続けた。

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フレームも最新CBR400Rに倣いアルミツインチューブの断面を内側に目の字のリブがある5角形にする、剛性アップとライダーへのフィット感を高める走りに特化した。
そのハンドリングは、安定性が高い安心できるリーンと、旋回がはじまると前後のバランスの良いアライメントで、ライダーがバイクに身を委ねたままコーンリングが楽しめる優れた特性にまとめられていた。
しかも先代より軽快性も高く、狙ったトコロへ旋回していくシャープな追従性も持ち併せるスーパースポーツとツーリングスポーツの両面で評価の高さを誇った。

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こうしたキャラクターに相応しい硬派なレプリカデザインも好評で、とくにホンダを驚かせたのが女性人気の高さ。
とりわけブラック塗装の男性的なイメージが、スポーツバイクを選ぶ女性ファンに刺さっていた。

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翌1989年のカラーリング変更ではMC17から引き継いだHurricaneのロゴが消え、CBR250Rは継続されていたが、ライバルたちはさらに過激な仕様となってCBR人気に対抗しようと躍起になっていたのだ。
これを迎え撃つカタチとして、フロントブレーキを路面追従性やハンドリングの自然なフィーリングを狙い、敢えて大径シングルのディスクとしていたのを、ライバルに合わせるダブルにするなど、1990年からはCBR250RRへとバトンタッチする運命となった。

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しかしこの1988~1989モデルが、最もユーザーの使い勝手に寄り添う仕様として多くのライダーに愛され続けていた事実は、歴史に刻まれ忘れられない金字塔のひとつとなったのは間違いない。
ただこのモデルだけが燃料ポンプを駆動していたこともあって、燃料系の材質劣化による火災に対してのリコールもあったのを、こてからも乗り続けるファンのためにも付け加えておこう。