STMスリッパークラッチの繊細な動作だけがもたらす、
シフトダウン感覚の滑らかさ!
いまや中型スポーツバイクにまで装備されているスリッパークラッチ。
シフトダウンでエンジン回転差が大きな操作、たとえば6速→2速など、3速以上まとめてギヤを落としていきなりクラッチを繋いでも、後輪が跳ねたりスリップして車体の安定を損なわないよう、強いエンジンブレーキが作用するとクラッチが滑って衝撃を減衰する、お馴染みになりつつあるシステムだ。
開発された当初は、細かなパーツで組まれたメカニズムだったが、最近の構造は意外なほどシンプルで、バックトルク(エンジンブレーキによる減速方向の応力)が働くと、斜めに組み合わさった部分がスライドして、クラッチに隙間が生じ半クラッチ状態になるというもの。
このおかげで、それこそクラッチを切らずにシフトダウンしてもショックが吸収されるスムーズさで、メリットは少なくない。
ところがSTMのスリッパークラッチは、さらに比較にならないスムーズさを誇る。
このスライド部分にデリケートに動作するベアリングが介在し、滑らかというか、シフトダウンをしていないようなまろやかな操作感覚なのだ。
プロのレースシーンに求められるシビアな操作感覚が、
ツーリングの速度域でいっさいのショックを伝えない、
スーパースムーズさが楽しめる!
このSTMスリッパークラッチ、スーバーバイク・レースではサテライトチームだけでなくワークスマシンにも採用される超弩級のクオリティ。
何がそこまでのニーズを必須とさせているのか……それはプロライダーの激しいシフト操作でコーナリングの動作中に一切の駆動を途切りたくないからだ。
シチュエーションでいえば、フルバンクのままシフトダウン、そしてパーシャル・スロットルも介さず間髪入れないスロットルONで、通常のスリッパークラッチの構造だと、斜めのスラスト角度でスライドするストロークが、どうしてもON・OFFのタイムラグを生じる。
この僅かな衝撃がエンジンブレーキ効果はもとより、加速に転じる大事なトラクションのきっかけを妨げかねない。
といった一般のライダーでは、操作できない極限で大きなメリットのあるSTMスリッパークラッチ。
そんなのツーリングペースで走るワインディングでは必要ないに決まっている、そう思われるかも知れないが、ところがそんなシチュエーションで驚くような効果が発揮されるのだ。
STMスリッパークラッチ装着したマシンに試乗すれば、誰でもビックリするに違いない操作感覚を体験することになる。
そのデリケートなスラスト方向と駆動のON・OFFで生じるラグを緩和する小さなベアリングの組み合わせは、シフトダウンでいっさいのショックがない、キツネにつままれたような不思議感覚。
このどんな状況でも滑らかにシフトダウンできるスペシャルな感性は、何ともいえない贅沢さで、必要もないのにシフトダウン&アップをつい繰り返してしまうほど。
思わずニンマリしてしまう、オトナの密やかな楽しみ、とお伝えしたいほどの明らかな違い。
ドゥカティ以外にも適応車種があるので、ぜひチェックなさるようお奨めしたい。
Panigale V4 Speciale オーナー 小林紳一さん
YouTube「RIDE HI No.10」で動画をご覧になれます。
01:24:02 に収録(STM SLIPPER CLUTCH CONVERSION)