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このバイクに注目
HONDA
CB750
1992~2007model

CB SevenFiftyはいま見てもトラディショナルな魅力を放つナナハンだった!【このバイクに注目】

Photos:
HONDA

トラディショナルなフォルムの強みで16年間ものロングランに!

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1969年に量産車で世界初の4気筒、CB750FOURをリリース、ビッグバイクの頂点に君臨したホンダ。
その次世代は何と10年後、DOHCのCB750F/900Fでまたもやライバルを突き放す大成功を収めた。
そして1983年、ナナハン専用エンジンとして空冷DOHC4気筒を思いきりコンパクトに全面刷新したCBX750Fと、アメリカ向けにデザインやテイストを変えたHORIZONもデビューした。
このエンジンをベースに、1991年に主にアメリカ市場向けの街乗りNighthawk750を先行してリリース、続く1992年に今度はヨーロッパを主体とした新CB750が登場したのだ。

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ボア×ストロークは67.0×53.0mmで747cc、75PS/8,500rpmと6.5kgm/7,500rpmは、街中で使いやすい低中速トルクとスロットルレスポンスが穏やかな感性で、ワンディングを楽しませる熟成された優秀なバランスを発揮。
とくにラジアルタイヤを採用してつくり込んだハンドリングは、New Europian Standardを標榜した狙い通りの「オトナのナナハン」に仕上がっていた。
海外向けのカタログには敢えてキャッチフレーズをCB SevenFiftyと、750の数字ではなくミドルクラス専用であるアピールをしたほど積極姿勢だったのだ。

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ただ国内向けとして、欧米の唯々コンサバティブなバイクであれば良いというこのカテゴリーへの価値に対し、大型免許を取得して楽しむ趣味性の高いビッグバイクのこだわりに応える仕上げなど、ネイキッド・ナナハンへの開発スタッフの思いも熱かった。
同時に熟成されたエンジンを搭載するメリットとして、当時としては中型クラスに近い68万9,000円(税別)という価格も、国内ユーザーに「オトナのナナハン」を普及したいという思いが込められていた。

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900ccや1,100ccといったオーバー750が群雄割拠を繰り広げている状況で、ナナハンに求められるのはベーシックスポーツとしての立ち位置。
ホンダは頂点の性能を追わないユーザーへ向け、敢えて5速仕様とするなどこれまでのノウハウを注ぎ込んだ、ハンドリングが軽快でライディングを実用域で楽しめる特性にまとめたのだ。

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そうしたいわば地味なコンセプトのため、CB750はデザイン的にもコンサバに徹したつくりとなった。
ただ当初から言われたのが、走りを楽しめる高いスポーツ性を秘めているのに、ルックスが地味でもったいないという声。
そこでカラーリングをダーク系のみだったのにレッド系を加えるなど、地味さを払拭するカラーリングのバリエーションが続々と登場する流れができたのだ。

2004年に追加されたグラフィックには、より大型で採用された定番のトリコロールをまずレッド系から投入。

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また走りに凄みもあることから、2004年モデルにはダーク系でも刺激のあるツートンが加えられた。
そしてお約束のブルー系トリコロールも当然のリリース。
さらに2006年には地味さと派手さを織り交ぜたツートンも投入、コンサバなイメージを塗り替える思い切ったカラーリングの試行が繰り返されていた。
もうひとつ、ネガティブな要素といえるのが、大型免許の教習車に採用されたことで、ユーザーから無難な存在とされてしまうイメージの払拭があった。
そこで2007年に採用されたのが、フレディ・スペンサーが750F/900F系でアップライトなスーパーバイク時代に圧勝したカラーリング。
コンサバを貫くコンセプトは、遂にスーパースポーツの衣裳を纏うまで展開が変わってきたのだ。
それもこれも、乗れば軽やかで素直なハンドリングと、中速域を主体に扱いやすいレスポンスと有効なトラクションが醸し出すコーナリング・ポテンシャルだからだ。
しかし、そうした評価はキャリアを積んだライダーからが多く、見た目で選ぶライダーが多いクラスだけに、もうひとつ特別感でプッシュする必要性から、2007年にはスペシャル版が登場。
シルバーの燃料タンクは、あのフラッグシップとしてあまりに高名な6気筒CBXを模したものだ。
まさかの展開という他ないCBナナハンのこうしたスペシャルペイントの数々は、意外と知られないまま。
あらためて、優れたポテンシャルに、ホンダが込めた思いの濃さを思い知らされる。