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このバイクに注目
KAWASAKI
ZXR250
1989~1999model

カワサキ初の4気筒250レプリカに込めた常識を超えたプロ仕様!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI

最後発の意地を賭け超高回転を許容する新4気筒と本格派足まわりで構築!

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1980年代に日本国内で吹き荒れた空前のレーサー・レプリカ・ブーム。
しかしカワサキだけが、その熱き戦線へ参画していなかった。
そもそも国内レースへワークス参戦していないため、レプリカのベースが存在していないこともあったが、ライバル・メーカーたちとは距離を置いたスポーツ・ツーリングや、とくに250ccでは2気筒の優位性を謳い独自のモデル投入を展開して成功を収めていたからだ。
しかし1989年、さすがにカワサキファンの期待に応えようと、国内レース参戦と共にレプリカのZXRシリーズをリリース、250ccから400cc、そして750ccクラスとラインナップ、中でもZXR250は他がビギナーを意識した仕様と違い、すべてに400や750と同一レベルという豪華バージョンで一線を画していた。

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新規に開発された前傾35°のDOHC16バルブ4気筒は、48×34.5mmの249cc、45PS/15,000rpmに2.6kgm/11,500rpm。
レッドゾーンが超高回転の19,000rpm、これが常用される前提で開発されていて、動弁系を小さく軽く挟み角もIN側EX側ともに15°で気鋭のレーシングエンジンそのもの。
セミフラット負圧ピストン内蔵のダウンドラフトキャブレターは400ccクラス並みの30mm径(SP仕様は何と32mm径!)。
それでいて、驚くほど低い回転域からトルクを感じさせる力強さには唖然とさせられた。

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フレームも目の字断面にリブが内蔵されたアルミのe-BOXフレーム。
そしてリヤサスのアッパーマウント部分には、20mmの車高調整ができるアジャスターが標準仕様と、レーシングマシンにしか見られないプロ設定だ。
そして250ccクラスでは初の倒立フォークと、どれをとっても超弩級。
因みにカウルのスクリーン近くで蛇腹ホースに結ばれた吸気口は、ZXR400と750でラム圧をキャブに与えるインレットだったが、ZXR250では単にシリンダーヘッドまわりを冷却するエアフローで、エアクリーナーへの吸気はアンダーカウルに設けたエアスクープからという独自の設定だった。
かくしてレプリカを待ち望んだカワサキファンが飛びついたこともあって、最後発ながらZXR250は一気に人気車種となった。
さらに翌1990年モデルでは、エンジン部品やホイールにブレーキ系統の軽量化、スイングアームも新型の高剛性軽量型となり、レース出場のために用意されたZXR250Rでは、軽量クランクシャフトと先鋭化を進めていた。

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既にピークを迎えていたライバルたちと違い、レプリカ仕様をスタートさせたばかりのカワサキは、この程度では気が済まないとばかりに1991年モデルで、実はフルモデルチェンジといえる大幅改良を加えたのだ。
何とエンジンをさらにショートストローク化、49×33.1mmとして45PSをさらに高い16,000rpmで得る超々高回転型へと進化させた。
250ccとはいえここまで低回転域にトルクがないのは……そう思わせるほどピークの高回転域になればなるほど鋭く吹け上がる、いかにも潔いレーシーチューン。
そしてアルミフレームも凝ったe-BOXからアルミ薄肉の大径押し出し材を使用した完全な新設計で、さらに高剛性化を達成するという徹底ぶり。
カウルも小径2眼から、フラッシュサーフェイス化と一体化したツインヘッドライトと大きくデザイン変更を果たした。

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以後、カワサキらしく毎年のグラフィック変更と細部の改良を積み上げながら、ファンの期待に応えていった。
1992年モデルではブラック系でフレームもブラックアウトしたグラフィックとなっている。

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1993年には馬力規制への対応で40PSへパワーダウンしたが、逆に中速トルクを稼ぐ特性へとチューンを変更、グラフィックもブラッシュパターンを加えレッド系の新グラフィックも登場、SP仕様は廃盤となった。
1994年にはワークスカラーのライムグリーンのグラフィックが大きく変わり、新たにパーシモンレッドとシリーズ初の単色モデルも加わった。
そして1999年の最終モデルでは、ライムグリーン一色のモノトーンが登場、カワサキファンのためのマシンというカタチで締めくくられたのだ。
こうして短い期間で一気に詰めていったZXR250だったが、エンジンはネイキッド系バリオスへと継承され多くのカワサキファンに愛される4気筒250ccとなった。
その後、2020年にZX25Rとして4気筒250ccが復活したのはご存じの通り。