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このバイクに注目
MV AGUSTA
F3RR
2024model

クランク逆回転もMVがハンドリングを最優先する一環!【このバイクに注目】

Photos:
MV Agusta

加速でフロントリフトを抑え旋回中も高いトラクション効果を!

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コーナリングで見事なハンドリングをみせる伝説のイタリアン・ブランド、MV AGUSTA。
ビモータを興し、ドゥカティ916など異次元と評される完璧ハンドリングを生み出してきた鬼才タンブリーニが、憧れだったMV AGUSTA復活に渾身の作品としてF4(750cc)をリリースして以来、MV AGUSTAでは開発を担当するCRCに脈々と受け継がれるハンドリング最優先のDNAが宿る。

中でもF4直系のF3シリーズには、さらに高次元な理想を追求、一般公道を走る市販車でありながら純粋に走りを極めるGPマシンと変わらない、構成要素に的を絞りハンドリング追求に一切の妥協を辞さない設計思想が貫かれている。
その象徴ともいえるのが、クランクシャフトの逆回転。
スーパースポーツは必要最小限のエンジン構成とするのが常識で、クランク軸→クラッチとを結ぶカウンター軸→チェーンを駆動するドライブ軸の3軸に絞られる。
しかしF3は敢えてもう1軸プラスして、クランクシャフトが通常と逆方向へ回転する仕様としたのだ。

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なぜそんな面倒なコトをしたのかというと、強力に加速する際にフロントがリフトする姿勢変化を抑えるため。
一般的な3軸だと横置きとなるクランクシャフトは、ピストンが下降してくると前方に向かって回転する。
しかしこの回転方向だと、加速で急な回転上昇で生じる反トルクでクランクシャフトが収まるエンジンケースの前方で持ち上がろうとする応力が働く。
これはウイリーなど前輪が路面から離れる、もしくは路面に追従しにくいことになり、車体が寝ている旋回中だとフロントタイヤのグリップを損なうプッシュアンダーの傾向となり、曲がり方が弱まってしまうためレースではライダーが思いきりスロットルを開けられない状況に陥る。

そこでクランクを逆回転させれば、これとは反対にフロントを下へ押し付ける応力となり、もちろん加速Gでフロントリフト気味にはなるが、かなり抑えられるというワケだ。
さらにスロットルを全閉にしたときも、エンジンブレーキの反力がチェーンを駆動する後ろの部分を路面へ押し付ける方向へ働き、後輪が跳ねるホッピングを生じにくくできる。

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このクランク逆回転のため、もう1軸をクランク後ろへ増設し、バランサーの駆動を兼ねると同時に軸位置をクラッチがシリンダー後方となる配置にして、ミッションも2軸を上下に並べることができるため、エンジンの前後長が極端に短いコンパクト化を果たしている。
この上下に伸ばし前後を縮めるのも、リーンにはじまり旋回中のトラクション効果を高めるメリットを狙ってのことだ。

緻密で正確な設定ほど、神経質にならずバイクまかせで乗れる!

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レーシングマシンは、車体の重心位置に最も影響を与えるクランクシャフトの位置と、後輪が路面を蹴る接地点付近、そして前輪のセルフステアを従順にできるか否かを左右する斜めのキャスター角との位置関係を何より理想の配置とし、車体が傾く動きの中心となるロール軸がムダにブレないよう、他のフレームや補機類などの重量や質量のバランスに留意しながら組み立てていく。
さらにエンジンの前後長が短ければ、前後輪のホイールベースを曲がりやすい短いサイズのまま、スイングアームを伸ばすことができ、リヤサスの沈み量が悪をうける速度の高い速度域でも、後輪を路面へ押し付けるアンチスクワット設定が変化しにくい仕様を可能としている。

短いパイプを熱いだ強靭でコンパクトなトレリスフレームをはじめ、レーシングマシンのように意識せずとも前後輪に余計なアクションを伴わない、ニュートラルなステア反応でリーンから吸い込まれる旋回へ移行していくハンドリングは、超々のつくスーパーレプリカでもこうした特性にまで詰められたマシンはほぼないに近い。
F3は全盛期の2スト250レプリカのように、気がついたらグイグイ曲がっている……あのフィーリングにかぎりなく近い。

それと誤解されやすいのが、そこまでシビアに妥協を辞さない車体とエンジン設定だと、乗るライダーのほうも繊細にコントロールできる感性やキャリアが必要に思いがちかも知れない。
しかし実態はまったく逆で、この緻密で正確な設定は、ライダーが多少ラフに扱おうが余計なアクションを加えても、素性の良さが勝って見事なニュートラルステアをキープしてみせる。
ガンガン開けたり閉めたりせず、スロットル操作が緩やかでもその違いは功を奏している。
むしろビギナーほどメリットを享受できるといっても過言ではない。

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そんな類い稀な高バランスで構築されたエンジンと車体だけに、ライディングポジションを旋回ハンドリング最優先の前傾をやや楽な乗車姿勢にしたスーパーベローチェや、ネイキッド系のブルターレにドラッグスターのバリエーションモデルでも、素性の良さはさすがというレベルで扱いやすくライディングを楽しめるハンドリングだ。

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そんなに違うの?と思われるなら、ぜひ試乗されることだ。RIDE HIが主催するサーキット・イベントの、BIKE GATHERINGではエントリーなさった皆さんに試乗のチャンスが用意される。
先導つきだが、広々としたコースでリラックスして試乗できるので、その呆気ないほど軽快で素直なハンドリングをすぐ感じることができる。
もちろんバイギャザに参加されない方でも、MVディーラーには試乗車が用意されているので興味のある方はぜひご相談を!

▶▶▶BIKE GATHERINGの詳しいご案内とお申し込みはこちら▶▶▶BIKE GATHERING.0232024/05/18(土)