2011年の第42回東京モーターショーで、他のコミューターと共に参考出品された「Y125 もえぎ」
2011年の東京モーターショーで、ヤマハはコミューターやXT250RYOKU(陵駆)と呼ばれる2輪UVが展示されたブースを設けていた。
そこにこのY125 MOEGI(もえぎ)が参考出展車の1台として展示されていた。
自転車やシクロのような細いタイヤの大径ホイールで、プレス成形を前提にした柔らかな曲面のダイアモンドフレームに、125ccの縦長シリンダーにバルブ駆動まわりの大きなヘッドのシングルエンジンがマウントされている。
駆動はベルトドライブでサスペンションがフロントに倒立フォーク、リヤサスはモノショックとモーターサイクル然とした仕様だ。
10年以上経過したいま、モビリティのパーソナルな原点としてニーズを予感……
ヤマハの発表資料によると、モーターサイクル本来のシンプルな構成美を基調としながら、ヤマハのデザインフィロソフィーを織り込んだ、美しく気品のあるコンセプトモデルという。
自転車のような親しみやすさと、軽快でやさしい乗り心地を兼ね備え、日常生活におけるコミューティングはもちろん、時には遠出を促すようなアクティブなイメージも併せ持っているのが狙い。
動力には世界のスタンダードクラスとも言われる125㏄エンジンを搭載し、軽量かつスリムな車体や転がり抵抗の低い細身の大径(前21/後20インチ)タイヤ等との組み合わせにより、車両重量は80kgに収める。
燃費は市街地走行で80km/L(M-LA4モードによる測定)を目標値として設定、また日常のメンテナンスを軽減する機構として、ベルトドライブやLED灯火類を採用している。
基本のスペックも発表されていて、全長1,960mm・全幅630mm・全高980mm、車両重量が 80kg。
原動機種類:空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ・単気筒の125cm3(125cc)
フューエルインジェクションで変速機はリターン式4段。 燃料タンク容量 3リットルが発表されたすべて。
2011年当時は、電動自転車も主力機種のひとつだったヤマハが、125ccと本格的なモーターサイクルと50ccコミューターとの曖昧な位置づけに思われがちだったが、ご存じのように125ccは間もなく原付きバイクに分類されるコミューターの中心的位置づけとなる。
そうなると、これまでの50cc~75ccクラスのカタチより、こうした大径ホイールの車格のほうが安定性に優れる上に、これから二輪に親しもうという層にも受け容れやすいフォルムとして将来性を感じさせる。
もういっぽうで、コミューターはEVを前提とするのが主流となりつつあるが、内燃機関(エンジン)の行動範囲や使い勝手の広さには、まだまだ依存したいユーザーが多いのも事実。
こうした新しい感性で二輪車の可能性を思わせる提案は、日本のバイクメーカーにもぜひチャレンジを続けて欲しいものだ。