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Q.寒い時期に浅いバンク角で曲がれるフォームは?【教えてネモケン121】

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寒い季節はタイヤのグリップが心配で
カーブは浅いバンクで曲がりたいのですが、
リーンインするほど不安定になるばかりです

A.上半身を横へズラさず低く身構えましょう

バイクを立てるほうに気をとられると曲がらない

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確かに路面温度が低い冬の時期は、タイヤが暖まらずグリップ力は半減以下と思うのが正解です。
だからツーリングでワインディングを走るとき、深くバンクせずにコーナリングするのが基本。
この浅いバンク角で曲がるために、リーンインというフォームがあるのですが、これが誤解を生じやすく却って曲がりにくい逆効果となっているケースも少なくありません。

バイクは傾けないと曲がれない……確かにそうなんですが、だからといって傾ける角度が曲がれる強弱を支配はしてません。
とくに腰で車体を捻るクセがついてるライダーほど、この傾ける角度が浅いと曲がれないと直感している可能性が高いようで、リーンインのフォームがうまくできていません。

深くバンクするとタイヤが滑る、だからバイクができるかぎり寝かさず立てる、それでも曲がれるように内側へ重心を移動するため上半身をイン側(横)へズラしたフォームをとる……これがNGなのです!
上半身を横へズラスと、確かに重心は内側へ移行しますので、何れは曲がれる側へ働きます。
でも横へ移動している間は、体重が車体から抜け気味になってしまうのです。
ライダーは操作したとき、つまり身体を動かしたときにバイクが反応しないと、曲がりはじめたとは思い(感じ)ません。
だから上半身をイン側へ突き出す、車体を立てることを優先したライディングフォームは、カーブが短い一般道路には向いていないのです。

上半身を扇形にイン側を低くしていくフォームからはじめましょう

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タイヤは傾斜角だけでなく、路面に接するトレッド面を潰す荷重次第でも曲がり方が変わります。
これを左右するのがライダーの重心位置。内側に移行して曲がる基本は変わりませんが、低い位置にすることでタイヤのトレッドを潰す荷重へ変換されやすくなります。

この上半身を動かすのにはちょっとしたコツが必要です。イン側の肩だけ下げると、この間に荷重が抜けてしまうので、両肩が扇形に弧を描くよう上半身が倒れ込むような動きにするのです。
気持ちアウト側の背中で支える、つまりちょっとだけその部分が硬くなっても支えになる感じにすると、この上半身が扇形にイン側の低めへ素早く移行できます。

どうでしょう、上半身が動き始めたときからバイクが曲がりはじめていませんか?
もちろん劇的にグイグイとは曲がりません。真っ直ぐ走らず弧を描きはじめた……レベルで充分です。

着座位置を後ろへズラすと曲がりはじめがちょっと強まります!

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このバンク角が浅いと、まがりはじめが曖昧になるのを変えられるのがシートの着座位置。
腰を突き出す感じまで後ろめに着座して、先ほどの両肩で扇形に弧を描く動きをしてみましょう。

どうですか?直立からちょっと傾いた直後にカクッと進路を変えますよね。人によってはカクッとまで鋭く感じないので、レスポンスの鋭さをイメージせず、進路変更がはじまるかどうかに集中してみてください。
これは着座位置が後ろになることで、エンジンの重心位置やステアリングヘッドの前輪セルフステアを促す影響力が、いってみればテコの原理のように僅かな入力で反応しやすくなるからです。

これでどんな感じで曲がれるかを確かめつつ、車体を寝かさずに荷重で曲がれる乗り方を徐々に身につけてください。
リーンインは、腰を落としたり肘擦りフォームのように、派手に身体を移動するだけではない、そこをシッカリ理解して状況に応じた操り方を工夫していきましょう。

Photos:
Shutterstock,藤原 らんか