honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_main.jpg
このバイクに注目
HONDA
VFR400R(NC30)
1988~1993model

VFR400R(NC30)のレーシングマシンと同じシビアなスペックによる最強ポテンシャル!【このバイクに注目】

Photos:
HONDA

400ccでも360°クランクが路面を蹴る力強さとRC30並みの高剛性が他を寄せ付けなかった!

honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_01

ホンダは1982年にVF750SABRE(セイバー)とアメリカン・スタイルのMAGNA(マグナ)でV4攻勢をスタートした。
当時は世界GP頂点が500ccクラスで、主力が2ストロークだったところへ1968年以来の復帰を4ストロークで成し遂げようとV型4気筒のNR500を投入、いよいよそれが市販車へ反映されホンダにしか構築できない大革新ドラマが開幕したのだ。
しかも1年と経たない年末に、何とV4エンジンを400ccクラスにもリリースして世界を驚かせた。
そのVF400Fも1986年にはカムギヤトレーン搭載のレプリカ仕様で初代VFR400Rへと進化、2気筒並みにスリムで鋭い運動性を活かし全日本のレースで圧勝。
その勢いを緩めず不動のモノとしたのが、1988年に登場した形式名NC30で呼ばれることの多い新世代VFR400Rだ。

honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_02
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_03
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_04

世界でもフォーミュラ750のレースでV4は圧倒的な優位性を誇り、1987年にはワークスマシンへ灯火類を装着した市販レーサーのVFR750Rを限定生産、型式名のRC30で呼ばれるマニア垂涎のマシンだった。
このRC30をそのままスケールダウンして1988年に投入されたのがこのVFR400R。
形式名もRC30に因んで排気量を区別するNを冠したNC30と名付けていた。
このNC30最大の武器は、RC30同様の360°クランク。
直列4気筒(並列4気筒ともいう)が各気筒で等間隔爆発するのに対し、V型4気筒は180°クランクでもトルク変動の波を伴うV4ならではのトラクション効果を誇っていたが、さらに360°クランクとすることで2気筒のような爆発間隔の広さが、路面を蹴る力強さへと結びつく大きなメリットとなり、これを武器に圧勝に次ぐ圧勝を重ねていた。
因みに55mm×42mmの399ccから、自主規制値上限の59PS/12,500rpmと4kgm/10,000rpmのスペック表示だが、点火プラグを10mm径から8mm径のレーシングマシンサイズとしてバルブ径を拡大、600cc並みと思わせるクラス最強の中速トルクで、乾燥重量164kgも手伝ってコーナー脱出でいち早く差をつける実力差が歴然としていた。
そして見逃せないのがV4のコンパクト化とシャシー(フレームを含む車体関係)のハンドリングを最優先したアライメントだ。
たとえばカムギヤトレーンのギヤ部分は径を縮めヘッドカバーまわりをU型ラジエーターの下に潜り込むほど前進させ、フロントアクスル(前輪車軸)からV4のクランク位置との距離を580.5mmのまで詰め、旋回加速で曲がれる率アップに貢献。
因みに前作VFR400R(NC24)では615.77mmだったので、如何に前輪へ近づいたかがわかる。

honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_05
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_06
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_07

ツインチューブのフレームも、RC30と同じくメインチューブの断面にふたつのリブが入る「目の字」で5角形断面とした超高剛性仕様。
片支持スイングアームのプロアームはピボット部分が箱断面になったこれも強度充分の構成で、乗ればすぐわかるシャシーの余裕ある安定感から、かなりラフなライディングでも全くグラつかず許容してしまう余力たっぷりのポテンシャルとなった。

honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_08
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_09
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_10
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_11
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_12
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_13

そんな他を圧倒する独り舞台に、400ccクラスのレプリカ競争に判官贔屓ともいえそうな直4の応援気運が漂いはじめた。
あまりに強過ぎる存在だと、趣味要素の強いモーターサイクルではどこか親しみを感じにくい感情が支配する……RC30の最強400cc版も、そんな背景からニーズの独り占めには至らない状況だった。
車体のカラーリングでも、ホンダのレース定番であるトリコロールカラーだけに留めず、ブラックや鮮やかなレッドもラインナップ、他にないアピアランスをアピールしていたが、イヤーモデルではレーシングマシンの年度で変わるグラフィックをそのままという、直球勝負のレプリカな展開が繰り返されていた。

honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_14
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_15
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_16
honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_17

コーナリング中のいかなるシーンでも、スロットルを開ければ瞬時に後輪が強く路面を蹴り、旋回力を強めながら脱出加速を演じる最強V4。
2気筒並みにスリムでシャープなリーンが可能なハンドリングも、的確な重心位置設定でバンク角の変化に動じない安定感を伴うパーフェクトぶりに、プロライダーも舌を巻く傑作マシンだった。

honda_vfr400r_nc30_1988-93model_260612_18

とはいえ1994年、RC30が進化したRC45ヘ世代交替を果たしたのを機に、400cc版も「RVF」と究極の車名をつけた次世代へと進化。
しかし既にレプリカブームも終焉となり、独自のV4ノウハウが詰まった完成度を高めたファイナルレプリカも、多くの注目を集めるには至らなかった。