夏場は100℃超えも珍しくないけれど……
いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガスや燃費、静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利なので、原付のスクーターから大排気量のクルーザー、軽さを求められるオフロード車においても、水冷モデルの方が多い。
ところで“水冷”のための冷却水はエンジンの発熱によって温められ、温水というより熱水と呼ぶのが正しいほど温度が上がる。そこでメーターの水温計を見ると、夏場だと100℃を超えているコトも珍しくないが“コレってオーバーヒート!?”と少なからず不安を感じる方もいるだろう。
でも大丈夫!
4ストロークなら120℃くらいになる
もしエンジンの冷却水の経路(シリンダーのウォータージャケットやラジエター、ウォーターポンプなど)の中で冷却水が沸騰してしまったら一大事!それこそオーバーヒートでエンジンが壊れてしまうかもしれない。
水の沸点は100℃だから、水温計が100℃オーバーなのはマズい!……ワケではない。中学校の化学の授業で習ったかもしれないが、圧力が高くなると沸点も高くなる。そしてバイクの冷却水経路は密閉されて圧力がかかっているので、100℃を超えても冷却水は沸騰しないのだ。
また水冷エンジンには通常の水ではなく専用のクーラントを使用するが、含まれるエチレングリコールによって沸点はおおむね120℃くらいなので、やはり100℃を超えても問題ない。
4ストロークエンジンの場合は、走行中に水温計が120℃くらいを示すこともあるが、加圧とクーラントのおかげできちんと冷却できているのだ。 とはいえ、水温計の数字がどんどん上がって赤い文字色に変わったり警告が出たら(またはアナログ式の水温計で、針がレッドゾーンに入ったら)それは間違いなくトラブル。
日陰など涼しい場所に停めてアイドリングでしばらく様子を見て、それでも水温が下がらないようならエンジンを止め、バイクショップなどに連絡して対処しよう。
ただし、サーキットをバンバン走るようなシチュエーションでは少し気にしたい。特に年式が古めの車種は冷却機能が足りないため、ラジエターの巨大化やオイルクーラーの設置などが必要になってくる。そんな場合は専門のプロショップに相談してみよう。
いまどきの水冷バイクは、よほど過剰にエンジンに負荷をかけなければオーバーヒートすることはない。もし水温がどんどん上昇する場合は、ラジエターファンやウォーターポンプの故障、ラジエターキャップの劣化で冷却水経路の内圧が下がっているなど、何らかのトラブルを抱えている場合が多いので、速やかにバイクショップで診てもらおう