ライバルのビッグネイキッドが1300~1400となる中、狙ったスポーツ性重視で1200にとどまる!

2009年2月、カワサキは人気モデルだったビッグネイキッドのZRX1200Rをフューエルインジェクション化、ライディングポジションなど日本のライダー向けにアレンジし直したZRX1200 DAEGを発売した。
カワサキは1972年のセンセーショナルなDOHC4気筒の900cc、Z1で世界のパフォーマンス頂点を極め、後を継いだZ1000MkII、ビキニカウルを纏ったZ1-Rがデビュー、さらにパワーアップしたZ1000Jが、エディ・ローソン選手によって1980年のAMA(全米スーパーバイク選手権)チャンピオンを獲得するパフォーマンスをアピール。


以来、ビキニカウルのアップハンドルが、カワサキのネイキッド・スポーツのアイコンとなって定着するようになった。
そして空冷だったDOHC4気筒も、水冷化されたGPZ1100エンジンを新設計のダブルクレードルフレームに搭載したZRX1100が1997年にデビュー。
この新ネイキッドZRX1100は、何と10,000台を軽く超える大ヒットとなり、2001年にはボア×ストロークを拡大して1,164ccとしたZRX1200Rを発売した。
この排気量アップでシリンダーを鋳鉄ライナーから複合メッキシリンダーへと刷新、排気ガス浄化システムも装備して継続への足固めを進めた。
そして遂に2009年、排気ガス規制への対応で電子制御の燃料噴射化をはじめ、フレームなど細かなアライメント変更で最終世代となるZRX1200 DAEG(ダエグ)を投入。
燃料タンクにマーキングされた、古代から中世に北ヨーロッパ民族で使われたルーン文字で「D」にあたるDAEGは、区切りや終わりと始まりなど相反する意味も込められ、最後の完成形としてのZRX1200への思いが込められていたのだ。




エンジンは79.0mm×59.4mmの1,164ccのままだが、95ps/7,500rpm→110ps/8,000rpm、10.3kgm/3,500rpm→10.9kgm/6,000rpmとパワーアップ、しかし何より驚かされたのが高回転域へ特性を振ったことだ。
ビッグネイキッドの威風堂々と逞しい低速トルクで走るイメージではなく、あくまでも運動性を優先したハンドリングでダイナミックにコーナーを攻めるスポーツバイクであるのを主張していたのだ。
それを象徴していたのが、ZRX1200Rまでは5速だったミッションを6速化したこと。
他にもエンジンの吸気バルブ径からカムプロファイル、バルブスプリングにロッカーアームに至るまで、細かな仕様変更が加えられ熟成を深めていた。



当時の開発スタッフが、他社が1300、1400とビッグネイキッドの排気量を上げている中で、1200に踏みとどまって軽快な運動性を重視、カワサキはカワサキの考え方で行くという差別化を明確に進めていったという言葉が忘れられない。
広告展開も深々とバンクしたコーナリングのイメージを躊躇することなく表現していたのが、こうしたコンセプトと多くのスポーツファンがいるとの意識の表れだった。

そして2016年、ZRX1200 DAEGは遂にファイナルエディションを発表。1997年から継承されてきたローソンレプリカのグラフィックによって締めくくられることとなった。



