衝撃の東京モーターショーから忘れかけた7年後、何とスーパーチャージャー抜きで製品化!



2001年の東京モーターショーに、スズキから異様な怪物バイクがコンセプトモデルとして展示されていた。
B-KINGと名づけたのは、BRAIN(脳)、BRAZE(光り輝く)、BEAUTY(美)、BLOCK(塊=力強さ、男らしさを表す)などの頭文字「B」をとって、その究極であるKINGと結びつけたという。
21世紀を迎え未来バイクがテーマとするそのフォルムに世界中のファンは驚愕。
300km/hを超えるスーパーフラッグシップが狂走する中で、ひと際グラマラスでなまめかしさを湛えるHAYABUSA(隼)がベースとされていたが、B-KINGにはその面影など微塵もない。
折りしも他社からフラッグシップもネイキッド版が繰り出される気運だったが、そうした既成概念を全てかなぐり捨てインパクトに包まれたコンセプトモデルだった。
その「l怪物」を漂わせる強烈なデザインに加え、何より世界から注目を浴びたのが「スーパーチャージャー」が装着されていたこと。


HAYABUSAでも175HPと超弩級パワーだったが、B-KINGはスーパーチャージャーで吸気を強制的に押し込むことで、240HPが可能と表示されていた。
しかもタイヤサイズが、フロント幅で150、リヤは240というとてつもない太さ!
それだけではない、いまや常識のLEDウィンカーをはじめ、カーボンファイバー、ステンレス鋼、アルミニウム、革などの高級素材をふんだんに使用、 高度なコンピューターシステムがバイクに統合され自己診断システムから携帯電話をメンテやセットアップに活用できたり、雨が降った地域に向かう場合に備えた GPS ベースの気象警報システム、 さらにはバイザーをディスプレイとして使用するGPSナビゲーションシステムを備えたヘルメットを開発している等々、まさに夢のバイクといえる革新的な内容だった。




ところが、そうした期待感を世界中から集めたものの、B-KINGは一向に製品化される気配をみせない。
そして人々がB-KINGを忘れかけた2008年、そのルックスがコンセプトモデルにかぎりなく近い製品版が輸出仕様のみ発売されることとなった。
ただファンにとっていちばんのショックは、スーパーチャージャーが搭載されていないこと。
1340ccで183PSとモーレツであるには違いないが、リヤタイヤが200とこれまた最大ワイドであっても、コンセプトモデルの「怪物」ぶりはかなりスポイルされてしまった。


センターアップの巨大なマフラー・サイレンサーが後ろへ2本突き出たフォルムと、特徴的な顔つきのヘッドライトまわりなど、スズキのネイキッド系はこのB-KINGイメージを踏襲していて、そうしたネイキッドのフラッグシップとしての位置づけなのだが、押しの強さを削がれたイメージで注目度がかなり下がってしまったのは否めない。

しかし実際に街中から郊外まで、ライダーが走り回るようになると、1340ccもの巨大なエンジンでもハンドリングが扱いやすいと好評だった。
何よりYouTubeでテストコースを290km/hまで加速するシーンを見せられると、スズキ・ファンたちが誇らしげにB-KINGで闊歩する姿を見かけるようになりはじめた。


とはいえ、ひとたびインパクトの下がったイメージは拭い難く、カラーリングに定番のスズキ・ブルーを纏ったモデルも加えられたが短命に終わる結果となった。
しかしこの強烈な「怪物」イメージのルックスと共に、ある層には人気がある傾向はいまも続いていて、マニアには記憶から消え去ることのないモデルでもある。



