suzuki_goose350_250_20230614_main.jpg
このバイクに注目
SUZUKI
GOOSE 350/250
1991model

スズキのGoose350は高回転シングル!【このバイクに注目】

Photos:
スズキ

マン島T.T.でグースネック・コーナーに因んだ
コーナーを攻めるスパルタン・シングルを標榜!

suzuki_goose350_250_20230614_01

1978年のヤマハSR400/500、そして1985年のホンダGB400/500。
どちらもビンテージバイクとイメージをオーバーラップさせたトラディショナル・スタイルだ。

しかしスズキは1991年、そうした懐古趣味的な雰囲気とは次元を異にした、走りのロードゴーイングレーサーを目指したシングルをデビューさせた。
発端はイタリアはジレラのサトゥルノ(350/500)という、マン島T.T.のシングル・レースに出場していたロードスポーツが、日本にも輸入され注目を集めたムーブメントに挑戦する決定を下したことにはじまる。

suzuki_goose350_250_20230614_02

エンジンは公道仕様ではないDR350というオフロードエンジンを起用。
エンジン下にオイル溜めを持たないドライサンプ仕様で、GSX-Rで開発した油冷テクノロジーを駆使、高回転高出力のコーナーを一気に駆け抜けるパフォーマンスを狙った過激なコンセプトだった。

フレームもスリムさを活かした独自の構成で、何とフロントフォークは当時ハイエンドマシンに装着がはじまったばかりの倒立タイプを採用。
油冷を象徴するエンジン下のオイルタンクとダウンチューブ前にマウントされたオイルクーラーと共に、スパルタンな空気を醸し出していた。

145kgと超軽量でスリムなコーナリングマシン!

suzuki_goose350_250_20230614_03

79×71.2mmで4バルブ348cc単気筒は、33ps/8,000rpmでレッドゾーンは10,000rpm。
145kgの軽量さでコーナーからの立ち上がりはビッグバイクに肉迫。まさにシングル使いに憧れた男達に垂涎のマシンとなった。

こうしてシングル・スポーツといえば、トコトコと低い回転域の鼓動を楽しむイメージだったものが、熱きコーナリングマシンの代表的な存在として、新たなカテゴリーを創造したのは間違いない。

続いてそこまでスパルタンではない扱いやすい250も登場

suzuki_goose350_250_20230614_04
suzuki_goose350_250_20230614_05

”油冷”伝説もあって、メカニズムなどこだわり派向きとして語られたGooseだったが、軽量スリムはビギナーや女性ライダーにも扱いやすい要素であることから、続いて1992年、排気量を249ccへとダウンサイズしたGoose250がデビュー。
車重は僅か139kgと125cc並みに軽量且つコンパクトで注目を浴びたが、こだわり派向けのレーシングマシンと変わらない低く狭いハンドル幅は、さすがにビギナーに躊躇させていたようだ。

そして基本的な仕様は変わることなく、2000年の最終型まで生産が続けられた。
同じ頃のバンディット400/250や、GSX-R系から2ストレプリカまで、スズキはどんなカテゴリーでもそれぞれに妥協を辞さない粋を尽くした本格派が勢揃いしていた。
マイノリティで生産台数が多くなくても、そこに心血を注ぐ姿勢は半端なかった。
まさにマニア向けブランドとしての誇りに溢れていたのだ。