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このバイクに注目
SUZUKI
GS1200SS
2001~2002model

GS1200SSが目指したのは、ロードゴーイングのスーパースポーツでレプリカフォルムを!【このバイクに注目】

Photos:
スズキ

レプリカは進化の果てにレーシングマシンそのもになってしまった。
一般公道を走るスーパースポーツに、レーシーなフォルムも欲しいファンへの原点復帰で開発!

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スズキが2001年にリリースしたGS1200SS。
そこにはNewモデルとしての新しいメカニズムはない。
開発陣が目指したのは、レプリカ・ブームの終焉で気づいたスーパースポーツの存在価値をあらためて見直し、ユーザーにとってより楽しみの大きなスポーツバイクをつくろうというものだった。
ネイキッド・ブームも良いけれど、ツーリングを楽しめるスーパースポーツは少なくとのハーフカウルは欲しい、さらにはレプリカのような空力で合理性を追求した洗練されたフォルムに趣味性を感じない……などの、バイクファンのひとりでもある開発陣のマインドが集められ、まとめられていくという感性に大きく支配されていたのだ。

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キャッチコピーで「男のバイク」と謳われているのは、まだ耐久レーサーがアップハンドルのスーパースポーツにカウルを装着した、そんな時代に漂う「武骨さ」も匂わせたかったからだ。
だからフレームはアルミではなく鉄のパイプ製。
リヤサスもリンクを介したモノサスではなく、トラディショナルな2本ショック。
エンジンはいうまでもなく「油冷」で、スズキは4バルブ燃焼室エンジンにはGSXを車名に冠していたが、敢えて2バルブ時代を彷彿とさせる前提の雰囲気を踏まえ、実際には4バルブでも2バルブ世代のXを外したGSのみで組むという徹底ぶりだ。

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GSF1200がベースの油冷4バルブDOHC4気筒は、79.0mm×59.0mmの1,156cc。
100PS/8,000rpmと9.6kgm/6,500rpmは、CVR32キャブレターが敏感に反応しない設定で、人間の感性に馴染みやすいジワッとレスポンスする温和な印象に終始する。
ホイールベースは1,460mmと、日本国内のアベレージ速度を意識したコンパクトさで曲りやすいハンドリング。
アルミフレームではない前提も含め車重は210kgと、これは安定感のほうへ働く要素となっていて、ライポジも見た目より前傾がきつくない、とにかくライディングに難しさのない走りやすさが優先されていた。
ご覧のようにデザインもどこかオートバイらしさを湛えた、街中で「サーキット風」を楽しむ日本的なカフェレーサーを具現化した「良い感じ」が漂う。

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しかし企画段階では、そのような時流に竿を差すバイクに人気が集まるのか……マイノリティを自負するチャレンジングなスズキではあるが、さすがに懐疑的な意見もあって社内で賛否をとったところ、圧倒的に肯定する側が多数だったという。
ところがデビューでアピールしたブラックな「男気」イメージでは、そもそものヨシムラの耐久レーサー・イメージも伝わりにくく、翌年にはスズキといえばレースでお馴染みのブルーをアレンジするグラフィックへと変わっていった。因みに燃料タンク形状も変わり、容量が20リットルから18リットルへと少なくなっている。

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しかし企画から開発段階までは勢いがあったものの、実際にリリースされるとレプリカ時代の終焉とネイキッドブームも平坦化した状況で、カウルのついた'80年代を懐かしむ日本流カフェレーサーというポジションに飛びつく層を掘り起こせないままとなってしまった。 いかにも時期尚早なタイミングに、何と2シーズンで姿を消す短命なモデルだった。