得意の125ccクラスで意地を見せた走りのパフォーマンス!

スズキは'60年代、ホンダに続きヤマハが挑戦を開始した世界GPチャレンジに追随、50ccと125ccの小排気量クラスを主軸に世界タイトルを獲得していた。
そうした歴史から、スズキは2ストローク125ccには、絶対の自信とプライドを持ち、傑作マシンを輩出している。
その代表例がRG125Γ。1985年にあの初代250Γ(ガンマ)の流れを汲んだRG125Γをリリースしていたが、本命は1991年に登場した全面刷新のRG125Γ(NF13A)。
エンジンもボア×ストロークも異なる新設計で、同年そのネイキッド版の「WOLF125」も投入している。




エンジンは水冷2ストロークで、それまでのボア54mm×ストローク54mmに対し、ボア56mm×ストローク50.6mmとショートストローク化、124ccから22PS/10,000rpmと1.7kgm/9,000rpmと高回転化でパワーアップを遂げていた。
しかしポートタイミングと開口容積を可変とした排気デバイス、AETCを従来の2段から3段階に制御する進化もあって、中速域から力強く路面を蹴るパフォーマンスが圧倒的。
しかもツインチューブに見えるダウンチューブがエンジンを囲うダブルクレードルのフレームに、倒立フォークとリンク式リヤサスの足回りも125ccと思えない高剛性仕様。
この屈強な車体構成によって、強力なエンジン駆動とのコンビネーションは他を寄せつけないコーナリングパフォーマンスを発揮した。
またカウルのないウルフ125はハンドル位置が高いだけでなく、スイングアームがΓの湾曲タイプから一般的なストレートアームになり、フロントフォークが正立タイプと装備に違いがある。

さらに翌1992年には、ボア×ストロークを66mm×57mmへ拡大、195ccとして35ps/9,000rpmと2.9kgm/8,000rpmの大幅パワーアップとなったRG200Γと、ネイキッドのWOLF200が追加された。
乾燥で125kg(Γ)しかない軽量車体にこのパワー/トルクは、いうまでもなく250ccも脅かす強烈マシンだったのはいうまでもない。


スズキは勝負クラスのRGV250Γでも、同社ならではの独自のテクノロジー開発や贅沢な仕様を奢り、スポーツライディングが好きなファンに向き合う姿勢が鮮明だが、こうした125ccや中間排気量の200ccにまで、同じレベルで取り組み方を貫いていた。世界GP以来の125ccへのこだわりが、30年も続いているDNAには唯々驚くばかりだ。