2ストGT時代から世界ではツーリングモデルで定評のブランド！
2ストロークエンジンのメーカーだったスズキも、排気ガス規制などに対応できる4ストローク化を急務としていた。
そして1976年、初の4ストロークDOHC4気筒のGS750をリリース。
性能で肩を並べるスーパースポーツは、POPヨシムラと組んでレースでパフォーマンスを立証する戦略を選択、成功への道程を順調なスタートを切った。
さらに続いて1979年に、GS750Gとシャフト駆動のバージョンを追加、これがヨーロッパをはじめ確かな信頼感を築く上で大きく貢献していくのだった。
この初の4ストGSシリーズがデビューするまで、スズキには2ストロークの3気筒シリーズが頂点クラスで、ラムエア空冷のGT380、同じくGT550、そしてフラッグシップとして水冷3気筒のGT750の布陣を誇っていた。
この3機種はどれも車名が示すようにGT（グランドツアラー）カテゴリーで、ゆったりと乗る余裕を漂わせたキャラクター。
2スト3気筒のシルキータッチのスムーズさと相俟って、いまでいうスポーツツーリングで存在感を示していたのだ。
そのスズキが敢えてチェーン駆動のスーパースポーツとは一線を画した、シャフト駆動のスポーツツアラーを揃えたとなると、スズキファンをはじめツーリング好きから注目を浴びるようになった。
エンジンは基本をGS750と共有、65mmのボア×56.4mmのストロークで748cc、68ps/8,500rpmと6.0kgm/6,500rpmでスペック的にはほぼ変わらず、90°に駆動方向を変換するシャフト駆動方式のため車重が272kgとかなり増えている。
この負荷をカバーする意味も含め、排気量をアップしたGS850Gも加えられ、ボアを4mm拡大した844ccから77ps/8,500rpmと6.6kgm/7,500rpmへ大幅にパワーもトルクも向上していた。
さらに同じ時期にGS1000Eが開発されたのに呼応して、シャフト駆動モデルもGS1000Gを加えた。70mmのボア×64.8mmのストロークで997cc、90ps/8,000rpnと逞しくなったが、ツーリングスポーツとしてのバランスはGS850Gが最も優れていて評価が高く、本流は燃焼室あたり4バルブのGSXシリーズへとエンジンのベースを刷新していったが、GS850Gだけはそのまま継続機種として残り、何と1988年まで生産が続けられたのだ。
このようにスズキはGS750/850Gで、ツーリングスポーツのカテゴリーはスズキが得意というイメージを定着させ、4ストローク化から日の浅いメーカーであることを忘れさせていた。
そこには2スト3気筒のGTシリーズが培っていた、スズキのスポーツツアラーとしての実績があったのは間違いない。以来、最近でもSV650系などツーリングスポーツに強いメーカーとしてのブランドイメージが根強いのはご存じの通りだ。
