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このバイクに注目
SUZUKI
GSX400FW
1983~1986model

スズキは水冷化したGSX400FWでも250FWと同じ安定感を重視!【このバイクに注目】

Photos:
スズキ

水冷化もユーザーに寄り添う地味なコンセプトを貫きながら、実は空前の大ヒットGSX-Rの伏線だったのだ!

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1983年、スズキは400ccで初となる水冷DOHC4気筒のGSX400FWをリリースした。
それは1981年にデビューした気筒あたり吸気2本と排気2本の4バルブ燃焼室TSCCヘッドを搭載した渾身のスーパースポーツGSX400Fがベース。
全体のフォルムが大型梅雨を意識したせいか、やや刺激の少ないイメージで、マーカットでの反応もいまいちだったので、1982年には黒赤のヨシムラ・カラーで4into1の集合部分が渦を巻くサイクロン・マフラーを装着、シートも段付きといかにもプロダクションレーサーへカスタムした出立ちのImpulseを投入、一躍その存在感を強烈にアピールしたのだった。

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そして1983年、スズキからこのGSX400FWだけではなく、250で初の4バルブ燃焼室のGS250FW、そして水冷2スト・アルミフレームのRG250Γ、さらにはGSX750Eと一気にNewマシンが登場、その勢いは4メーカーでも群を抜くものがあった。
GSX400FWはImpulseとGSX400Fの空冷DOHC4バルブをベースに、ボア×ストロークが53mm×45.2mmで50PS/10,500rpmに3.6kgm/8,500rpmと控えめなスペック。キャブレターを2気筒分がワンボディに収まる2バレルタイプを採用するなど、高性能を追うあまり乗りにくくなるチューンは避け、ツーリングや街中での発進や中間加速に優位な特性としていたのだ。

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ただ車体はL-BOXとスチール製角断面で組んだ高剛性仕様とし、リヤサスペンションにはGPマシン直系のフルフローター・サス(他で採用されていた一般的なボトムリンクではなくベルクランクを介したショックユニット本体を両側からプッシュする高度なメカニズム)を奢り、前輪の16インチと小径でもワイドプロファイルなタイヤを装着した、トータルで安定感が崩れない安心感に浸れるハンドリングを追求していた。
ただライバルのCBR400FやヤマハXJ400Z-Sが、僅かな発売タイミングの違いでパワーがどれもGSX400FWを凌いでいたこともあり、目立たない存在となる憂き目に遭うことに。
そこで次モデルではパワーアップをはかり、59PS/11,000rpmと4.0kgm/9,000rpmとクラストップの座を占めたのだ……というより、アルミフレームにレーサーレプリカのカウルを装着しセンセーショナルなデビューを果たした、あのGSX-Rのパワーユニットとしてチューンされたのだ。

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このGSX-Rで400戦線は瞬く間にレプリカ競争へとエスカレートしていくのだが、スズキはあくまでツーリングメインの、当初から狙ったコンセプトのGSX400FWを継続モデルとして残していた。
ハイパー超軽量なイメージのスズキだが、このユーザーに寄り添ったコンセプトを頑なに守り通す一面もあって、ヨーロッパ向け600ccクラスではユーザーに信頼されるブランドとして確立され、成功を収めるモデルを輩出していくのだった。