
2024年度のスーパーバイク世界選手権を獲得したのはBMWを駆るトプラック・ラズガットリオグル選手。
そのチャンピオンマシンのレプリカでもあるM1000RRの2025年モデルが、日本でも3月28日から注文受付が開始され順次デリバリーがされている。
RIDE HIのサーキット・イベントBIKE GATHERINGでも、早くも最新M1000RRを走らせた方もいて参加者からの注目の的だった。
その2025年M1000RRに目が行くのは、いうまでもない目立って大きくなったフロント両側のウイングレットだろう。
新設計のMウイングレット・エボリューション3.0は、バンク中であってもフロントホイールへの荷重を増加させ全体平均で約33%、最大で50%増加の23.1 kgものダウンフォースを生み出し、ライダーはバンク角が浅い状態でも高速コーナーであっても安定した状態でより攻めたライディングが可能となる。
ただこの大柄なウイングレットはひと目でわかるカーボンファイバー製だが、カウル全体は旧モデルのようなカーボンファンバー製ではなく樹脂成形パーツとなった。

2025モデルのエンジンは、圧縮比を従来の13.5:1から14.5:1に引き上げ、楕円形の吸排気ポートを採用、併せてチタンバルブも新たに設計している。
またエアボックスの形状と燃焼室の形状を変更し、スロットルボディのサイズを従来の48mmから52mmに拡大。
さらにバルブガイドが短縮されてポート面と均一になり、吸気側では逆流防止のため、エッジが鋭角に成形されている。
排気バルブもよりスムーズな流路確保のため、シート角を45度から40度へ変更している。
ピストンも吸排気系の変更で新たな熱応力と機械的ストレスに対応するため新設計、チタン製排気システムも、楕円形の排気ポートに合わせて改良された。
こうした仕様変更で、欧州仕様車はEuro5+規制に適合して且つ最高出力218PS/145,00rpm(従来モデルより6PS向上)を謳っている。

スロットルは従来の72°から58°と開度を小さくした新しいMクイックアクションスロットルを搭載、手と手首への負担を軽減しつつ、新しくなったスロットルポジションセンサーとエンジンマネジメントシステムによって、スロットル開度を全閉から100%の全開まで直線的な変化を維持するよう調整されている。
エレクトロニクスパッケージは、スライド制御機能を備えた新しいダイナミックトラクションコントロールシステムにアップデートされ、ステアリングアングルセンサーとホイールスピードからの入力を組み合わせて最適なドリフトアングルを決定、バイクのスリップアングルが算出されたドリフトアングルを超える危険がある場合、このシステムが介入するよう設定されている。
BMWではお馴染みであるコーナリングABSの、Race ABS Proシステムがアップデートされ、新しいブレーキスライドアシスト機能とレーシングスリックタイヤ用の新設定が追加された。
ブレーキスライドアシストはDTCのスライドコントロールと同様に後輪のブレーキ圧を調整することで機能、新しいSlick設定がスリックタイヤの特性に合わせてABS設定を調整する機能も加わった。



2025年型BMW M 1000 RRでは2つのバージョンを用意、ベーシックモデルはライトホワイトのボディにWSBK Mモータースポーツのグラフィックとファクトリーライダー、マイケル・ファン・デル・マークのナンバー60があしらわれ、Mコンペティションパッケージは、ブラックストームメタリックのボディカラーにワールドチャンピオン、ラズガットリオグルのナンバー54が貼られ、Mエンデュランスチェーン、パッセンジャーキット、クリアアルマイト仕上げのスイングアーム、カーボンフロントフェンダーが追加され、MカーボンパッケージとMビレットパッケージも含まれている。

SPEC
- 圧縮比
- 14.5対1
- 最高出力
- 160kW(218PS)/14,500rpm
- フレーム
- アルミブリッジタイプフレーム
- 車両重量
- 183kg(乾燥)194kg(燃料90% 走行可能状態)
- タイヤサイズ
- F=120/70 ZR17 R=200/55 ZR17
- 全長/全幅/全高
- 2,085/899/1,228mm
- 燃料タンク容量
- 16.5L
- 価格
- 430万円(税込)