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このバイクに注目
SUZUKI
GR650
1983~1985model

GR650は2,500rpm以下だと大きなフライホイールでトルクたっぷり、3,000rpm以上で解放され軽やかにまわるSTDCC採用!【このバイクに注目】

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スズキ

トラディショナルなツインスポーツに斬新テクノロジーを注ぎ込むスズキ!

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1983年、スズキはGR650というミドルクラスのDOHCツインスポーツをリリースした。
一見するとトラディショナルなデザインで、フロント19インチにリヤ16インチとアメリカンスポーツ的な仕様。
しかしリヤサスは、フルフローターというショックユニットを上下からリンクで押す、GPマシン直系のハイメカも搭載、そして油圧のリモートでスプリングのプリロードを無段階でアジャスト可能と、要素だけ聞くとスーパースポーツをイメージさせる装備だ。
しかしこのGR650は、約2,500rpm以下の低回転域だと大きなフライホイールマスでトルキーに、3,000rpmを超えるとフライホイールマスが小さくなり、トルク変動の少ない滑らかな高回転域となる、いわば2気筒と4気筒の、ふたつの顔を持つエンジンにチャレンジしたバイクだった。

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このSTDCCと呼ばれるメカニズムは、2kgのサブフライホイールが2,500rpm以下ではスプリングでクランクシャフトと密着、いわゆる2気筒らしい低速トルクと回転すると変動するトルクの山も感じられるエンジン特性となる。
それが3,000rpmを超えると3組の遠心クラッチによって離れ、サブフライホイールがフリーとなりエンジン回転と関係なくなるという仕組み。
そもそも2気筒のトルキーなエンジンは、中速域以上の高回転域で、大きなフライホイールマスのためピーク域で鋭く吹け上がらず、スロットルに対しレスポンスが鈍くなる傾向にある。
それがこのSTDCCでは、3,000rpm以上でサブフライホイールを伴わない作動となるため、滑らかで俊敏な4気筒のような高回転域が得られるという2面性を併せ持つ。
因みに77.0mm×70.0mmの651ccで、最高出力は53ps/7000rpmで、最大トルクは5.6kgm/6000rpm、車重は乾燥で178kgに収まる。

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これは単にフライホイールを可変とするだけでなく、一般的にジェネレーター(発電系)などをフライホイール効果を得るため重く大きくしているため、クランクの軸受けなど相応に強度を必要としていたのが、STDCCの採用で負荷がグンと減るため強度を落とすことができるため、エンジン単体で60.5kgと400ccクラス並みに軽量化が可能となっていたのだ。
それは当然ながらフレームへの負担も軽減、しなやかな乗り味のハンドリングへの貢献度も大きかったという。

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4気筒化を急ピッチで押し進めていたスズキだったが、その4気筒化のあとに中型クラスはツインが台頭してくると睨んでいて、そこでの優位性を検討するとこうした可変フライホイール開発へと発想が展開されたという。
しかしこの可変フライホイールは、このGS650だけ1機種でしか展開されなかった。
他にも様々なファクターで、こうした特性は得られるのと優位な特性のどの組み合わせが良いかなど、実用化されてからの検証で先々が決まる。
その結果、可変フライホイールはユーザーからメリットとして評価されにくく、GR650以外に採用されずに終わったということなのだ。

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しかし、やってみなければわからないと、当時のスズキはエンジニアの頭脳フル回転でチャレンジを繰り返していた。
そうしたメーカーの姿勢に、趣味の領域を意識するライダーは惹かれてきた。
ライダーは基本マイノリティ好きだ。スズキはこのマイノリティ追求で押しまくる一面が強く、それだけに「スズ菌」といわれる信者的に濃いファンが多いのも頷ける。