世界で好評のXJ650をナナハンに拡大して国内向けにリリース!
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1980年、ヤマハはXJ650という輸出向けの新たなスポーツバイク感覚を込めた、DOHC4気筒+シャフトドライブのマシンで大成功を収めた。
4気筒スポーツといえば性能最優先が常識だったのを、扱いやすく安心感も大きなユーザーに寄り添ったスポーツツーリング的なコンセプトで開発、ヨーロッパ主要国でニーズの多いミドルクラスの広範囲なユーザーに好評価を得たからだ。
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前後サスの車重で沈み込むリバウンド・ストロークが長い、路面の不整に対しスタビリティが高く上下動ピッチを抑えた高速クルージング性能と、安定感たっぷりのコーナリングに多くが目を見張った。
ジェネレータをシリンダー背面に搭載したクランクシャフトの短い軽快な運動性と、当時は長距離高速移動でチェーン切れのリスクも残っていたこともあり、シャフトドライブの安心感との組み合わせが「新しさ」になっていた。
この走りの安心感こそ、ヤマハが4スト2気筒系や3気筒モデルでいちばん大切にしてきたコンセプト。
これをナナハンに拡大、国内向けに他のスーパースポーツと対峙させようとXJ750Eを開発、1981年にリリースした。
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エンジンは空冷2バルブのDOHCで、63mm×52.4mmの748ccは70PS/9,000rpmと6.2kgm/7,000rpm。
シャフトドライブの重量が嵩みやすい仕様にもかかわらず、乾燥で214kgに収めた結果の馬力当たり3.07kg/PSは、活力あるスポーツ性を感じさせ、それでいてXJ650で評価の高かった車重で沈み込む伸びるサスの設定でスタビリティは抜群。
コーナリングも、ヤマハらしく深くバンクすると前輪がアンダー気味に安定性を崩さない安心感で、ベテランからビギナーまですぐに馴染めて走り込みたくなるナナハンに仕上がっていた。
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またXJ750にはアメリカ向けにSECA(XJ750A)というスポーツモデルも存在していて、国内向けにはこの両機種を揃えてのリリースとなった。
ただこの感性豊かなジェントルスポーツを、スパルタンな4気筒スポーツと比較して軟派な路線と否定するライダーもいて、ヨーロッパでのXJ650のような大ヒットにまでは至ってない。
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その後のバリエーションとして、高速ツーリングスポーツとしてアピールした輸出仕様XJ900と同じカウルを装着したXJ750E IIを国内向けにも1983年にリリース。
さらにXJ650ターボと同じ大柄な外装カウルを装着したXJ750Dも僅かだが国内向けに販売されている。
またヨーロッパ向けでもアメリカ仕様をベースにしたバリエーションが加えられ、爆発的な人気ではないものの他にはないジェントルな4気筒スポーツとしての存在感を示していた。
こうしてXJ900系はディバージョンと呼ばれる前傾エンジン搭載モデルへと、ロングランで生き存える系列を繋いでいったのだった。