350シリーズの原型BULLETを新シリーズに統合、伝統の本モノ感が伝わるエンジンとは?ハンドリングとは?の揺るぎない結論をみる!
BULLET(ブリット)の車名は、ロイヤルエンフィールドにとって特別な存在。
創業1891年、モーターサイクル製造を1901年からスタートした最古のメーカーは、1932年にBULLETの250、350、500と3種類のエンジンで構成した新シリーズを発表、これをベースに1936年には直立単気筒で4バルフのモデルJFで一世を風靡した。
以来1950年代にBULLETはISDT(国際6日間トライアル)で成果を重ねるなど実績を積んできた。
それからの長い年月、何度もの世代交替で繋ぎながら、CLASSICやMETEORなど最新のバージョンを生むまで進化したが、BULLETのスタイルを継続した機種が絶えない人気に存続を続けていたのだ。
そして昨年、CLASSICをベースにこのBULLETの名を冠した新BULLETをリリース。
ほぼCLASSICと変わらないと思いきや、実はライディングポジションがもう少しアップライトで、背中や両腕に腰との位置関係が微妙に異なる。
まァ、ロイヤルエンフィールドなりのこだわりなのだろう……その程度にしかイメージせず、現地で新BULLETに跨がり、それなりに距離を走るテスト・ライドに出かけた。
しかし何度も試乗してきたCASSICとは、路面を蹴るトラクションのフィーリングが直進時に強めにフィードバックしてきたり、街中で四つ角を曲がるターンで前輪が穏やかに追従してくる曖昧さというのだろうか、とにかく前輪の存在を忘れさせる前後輪が一体になって緩やかに曲がりはじめる身のこなしがクラシカルだ。
何とも微妙なハナシだが、CLASSICとは違う!から突っ込んだ質問をしたら、そりゃライポジ違うから……の挙げ句に出てきたのが、BULLETの車名をつけるからには「これはBULLETではない」と長年乗り継いできたBULLETオーナーに言わせるワケにはいかんのだ、という逸話に辿りついた。
なるほど……何とも素敵なこだわりではないか、いわゆるスタイリングなど見た目ではなく、中身も走りも本モノであるのを必須としたバイク、そんな存在がいまあることに感激をした。
Jシリーズと呼ばれる350系すべてに共通したロングストローク単気筒は、日本車の単気筒スポーツがすべてオフロード系単気筒からの流用であるのと全く異なる、トルクの発生から鼓動感まで、まさに本モノの感覚性能を醸し出している。
シリンダーがなぜ長いのか(コンロッドが長い!)、カウンターバランサーが振動を打ち消す為だけではなくトルク発生の波を加勢して、力強く且つギクシャクしないスムーズさを伴ったパルシブなトラクション……といった設計思想で創られた単気筒スポーツは、日本車の歴史には存在していない。
アイドリングのまま、ローギヤでクラッチを放しただけで発進できたり、川底の石ころが見えない浅瀬で、不安定さを増すシチュエーションでもエンストせずに渡れてしまう粘り強さ……渋滞している中をストップ&ゴーを繰り返しても疲れにくいなど、BULLETをはじめロイヤルエンフィールドが積み上げてきたノウハウは、半端なくツーリングを楽しく安全で疲れにくいものにしてくれる。
SPEC
- 最大トルク
- 27Nm/4,000rpm
- 変速機
- 5速
- 車両重量
- 195kg
- タイヤサイズ
- F=100/90-19 R=120/80-18
- 全長/全幅
- 2,145/785/1,125mm
- 燃料タンク容量
- 13L
- 価格
- Black/Gold 70万1,800円(税込み) Black 69万4,100円(税込み) Maroon 69万4,100円(税込み)
METEORのアメリカンクルーザーを越えた好きなスタイルで乗れる新クルーザー感覚に爽やかな新色!
ロイヤルエンフィールドの350で人気のCLASSIC。
こんな感性のカラーリングとグラフィックがMETEORにあったら、そんなニーズを逃さず拾い上げたAuroraがリリースされた。
METEORのカテゴリーであるクルーザーには、渋めだったりポップだったりと、ソフトな感触のカラーリングやグラフィックはなかった。
それをCLASSICのような色合いを纏うと、METEORがこんなにも変貌を遂げるのには驚きだ。
エンジンはシリーズ共通で、最高出力が14.9kW(20.2PS)/6,100rpm、最大トルクは27Nm/4,000rpm。
因みに内径×ストロークが72.0×85.5mmと、最新バイクにはほぼ存在しないピュア・ロングストローク。
低回転域からのトルクを安定して蹴り出す偶力発生に重点を置いているため、世界で他のエンジンで見ることのできない独自性に溢れている。
実車を前にするとわかるのが、とてつもなく存在感が大きなこと。
パーキングへ入ってくると、バイクライダーだけではなく、ドライバーも思わず目で追ってしまう艶やかさだ。
「イイなぁ」と思わせる魅力を撒き散らす存在なのは間違いない。
SPEC
- Specifications
- ROYAL ENFIELD METEOR 350
- エンジン
- 空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒
- 総排気量
- 349cc
- ボア×ストローク
- 72×85.8mm
- 圧縮比
- 9.5対1
- 最高出力
- 20PS(14.9kw)/6,100rpm
- 最大トルク
- 27Nm/4,000rpm
- 変速機
- 5速
- フレーム
- ダブルクレードル
- 車両重量
- 191kg
- キャスター/トレール
- 25°/96.4
- サスペンション
- F=テレスコピックφ41mm正立
R=スイングアーム+2本ショック - タイヤサイズ
- F=100/90-19 R=140/70-17
- 全長/全幅
- 2,140/845/1,140mm(AuroraとSupernovaは1,310mm)
- 軸間距離
- 1,400mm
- シート高
- 765mm
- 燃料タンク容量
- 15L
- 価格
- Fireball Blue, Fireball Matt Green, Fireball Black 71万600円(税込み)Stellar Black 72万2,700円(税込み)Supernova Red, Aurora Green, Aurora Blue, Aurora Black 71万600円(税込み)
CLASSIC、METEOR、HUNTER、BULLETが織り成す各種スタイルとバリエーションの豊富さが他を完全に圧倒!
BULLETが加わったロイヤルエンフィールドの350系シリーズは、車体色やグラフィック、そして細々とした装備品まで、実に多様なラインナップが揃えられている。
いうまでもなく、同一クラスでここまで豊富な製品を揃えているメーカーは他にない。
BULLETもCLASSICとエンジンやフレームを共有しながら、ライディングポジションでクラシカルな伝統を受け継いできた設定で、他とは一線を画した本モノ感を漂わせている。
歴史を感じさせるカルチャーの違いを伝える、旧くからのファンにはたまらない設定だ。
またリリースから時間が経ったメテオ350には、既にご覧の10色がある。
実は各仕様が細かく異なるので、好みの色と仕様が一致しない場合、オプションで加えたり外したりできる設定なので、気に入ったカラーリングを選ぶほうを優先するのがオススメ。
そしてピュアスポーツのアライメントのHUNTER350も見逃せない存在だ。
ハンドリングはスーパースポーツと同レベルの前後バランスで、カーブをコーナリングする楽しさはロイヤルエンフィールドのラインナップで群を抜く位置にある。
これだけの幅広く、感性も様々なラインナップを揃えてしまうロイヤルエンフィールドの熱意は、多くの注目を集めるようになってきた。
しかも人気のレンジが時間経緯で変わってくるのを、彼らは予見していたかのようにNewモデルやNewグラフィックをリリースして途切れることなく繋いでいる。
実は中型以上のスポーツバイクで、ロイヤルエンフィールドは生産台数で徐々に世界の首位の座へ近づきつつある。
そこにある大多数の平均的なコンセプトではなく、個々に好みがわかれるマイノリティがバイクの基本とする、彼らの貫かれた信念の強さが導いている結果であるのは間違いない。