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このバイクに注目
BMW
S1000RR M Package

【BMW S1000RR M パッケージ 試乗記】Vol.2 4気筒スーパースポーツをモノにしたBMW。「上手くなったかも! そう思わせてくれる最高のサポート体制」

207psなのに開けやすい! スロットル開けはじめの一瞬の過渡特性を作り込む

この手のスーパースポーツは、ある意味で大馬力との格闘が魅力だ。でも格闘ばかりだと疲れてしまうのも事実。ドゥカティのパニガーレV4はその代表的なバイクだが、その対極にいるのがS1000RR。バイクがライダーを積極的にサポートしてくれる

スーパースポーツの中でもっとも懐が深いバイク。BMWはこの懐の深さを徹底して磨き上げてきた。ここを磨けばそれが速さに直結する……それを信じて。

しかし、それは速さだけでなく、安心感や大きな自信にも直結するのだ。S1000RRで走りこむほどにそれが伝わってくる。

ライダーは、年齢を重ねれば、怖い思いをすると自信を取り戻すのに時間もかかる。勢いだけではバイクに乗れなくなる……。僕もそうだが、スーパースポーツにきちんと乗れるのだろか……とたまに不安になる。しかし、S1000RRがその不安を払拭してくれる。
不安よりもコーナリング専用マシンならではの走る楽しさが光る。

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扱いやすさや一体感の得やすさが安心して速く走るためのひとつの答え。そこをS1000RRはひたすら追求してきた

フレキシブルなシャシーとエンジン。タイヤのグリップ感もわかりやすい

S1000RRには硬さがない。ゆっくり走っていても思ったラインをトレースしていくし、ペースを上げてもそのキャラクターが変わらない。タイヤが暖まっていくフィーリングも良好だ。

エンジンの中で常に回転しているクランクやコンロッドの軽量化が効いていて、エンジン内のジャイロ効果が軽減。フレームは形状も含め低重心化し、さらに重心から離れたホイールをカーボン化して軽量化することでマスの集中化を促進。バイク全体の動きが軽い。

ホイールが軽いとブレーキはコントロールしやすく、サスペンションの路面追従性も向上。重たいホイールはその動きを収束させるのに走行距離もサスのストローク量も必要だが、軽ければ一瞬で収束する。サスペンションも硬くしなくて済む。そして、メインフレームのフレキシブルさも実感。前モデルから11.5㎏の軽量化されているが、実感させてくれるハンドリングの軽さはその数値以上だ。

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軽量化と同時に、マスの集中も徹底した。Mパッケージはカーボンホイールを標準装備するため、その効果をより明確に感じることが可能だ

ペースを上げてもどこまでも素直。難しさを感じさせにくい

9,000rpmがシフトカムの切り替わりなので、とりあえずそのあたりを多用してみる……が当然カムの切り替わるタイミングは見つからない。

回転を上げてもスロットル開けはじめの過渡特性がよく、スロットルを開けた瞬間に後輪が路面を掴み、グリップを高めていく。だからスロットル開度はさらに大きくなっていく。

DDC(電子制御式サスペンション)付きの場合、明らかに姿勢変化が少なく、多少乱暴に乗ってもS1000RRが理想的な姿勢に導いてくれるような印象だ。あまりにもそのフィーリングが自然すぎて気がつきにくいが、これをライダーがコントロールしようとすると相当のスキルが必要。これはブレーキのABSも同様だ。

シフトアップ&ダウンに対応するシフターのフィーリングもよく、サーキットであればスタート時と停止時以外でクラッチレバーに触れることはない。 シフトダウンで後輪がロックすることはないし、進入時は何も考えずにペダルを踏めば、理想的なシフトダウンが約束される。

こういったすべての操作において常に「上手くいくかなぁ?」という不安や疑問を必要としないのだ。しかもそのサポートに過剰な演出もない。ライダーは荷重抜重に集中し、常にバイクがバランスする良い場所を探りながら動き続けることに集中できるのである。

もはや少し前のスポーツバイクからは考えられない世界がここにはある。

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キャリパーはアメリカのヘイズ製。マスターシリンダーはニッシン製。前後サスペンションはマルゾッキ製。フロントフォークのインナーチューブ径は前モデルより1mm細いφ45mm。こういったディテールにもBMWらしい個性がある

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Mパッケージに採用されるカーボンホイール。その質感はとても高い。軽量化だけでなく、高級感も与えてくれるから所有欲も高まる

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アップ&ダウンに対応するシフター。シフトダウン時は完璧なタイミングでブリッピングをしてくれる

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DDC付きのモデルはサスペンションの減衰調整機構の部分からコードが出る。走行シーンに合わせて連続的に減衰力を変化させてくれる

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スイングアームピボットは2mm刻みで3段階の調整が可能。アンチスクワットアングルを変更することで、加速時のフィーリングを変えることができる

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マウント方法を一新したリヤサスにはストロークセンサーを装備する。リンクはショック上側に位置し、少ない荷重でしっかり動くレイアウトになっている。車高調整はリンクロッドで行える

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左のスイッチにマウントされるダイヤルでメーター内のさまざまな機能を呼び出すのは、他のBMWと同用の装備

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プロモードは4段階のエンジン出力、3段階のエンジンブレーキ、4段階のトラクション、3段階+OFFのウイリー、5段階のABS、リヤサスペンションは伸び側と圧縮側の減衰力を独立して各14段階に調整可能。ローンチコントロールとピットレーン速度リミッターも設定できる

ペースを上げても車体全体がしなやかで、前後輪のグリップを感じやすい。これはリヤサスのマウント方法も影響している。前モデルのリヤサスは、後輪が受けた荷重を、リンクを介して車体に伝えていたが、このS1000RRはリヤサスが荷重を受け、リンクを介する構造。これにより少ない荷重でリヤサスが動き、そのレスポンスの良さがグリップや軽さに繋がっているのだ。

「前モデルと比較すると60%の力で実力を引き出すことができる」と開発陣。このことを走るほどに痛感させられる。

スーパースポーツをポジティブな気持ちでいつまでも楽しむ! そのひとつの答えがここにある。

※価格は2020年12月現在

IN THE SPOTLIGHT: The new BMW S 1000 RR

SPEC

Specifications
BMW S1000RR
エンジン
水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量
999cc
ボア×ストローク
80×49.7mm
圧縮比
13.3対1
最高出力
207ps/13,500rpm
最大トルク
113Nm/11,000rpm
変速機
6速
フレーム
アルミツインスパー
乾燥重量
201kg
キャスター/トレール
23.1°/93.9mm
サスペンション
F=テレスコピックφ45mm倒立
R=スイングアーム+モノショック
ブレーキ
F=φ320mmダブル R=φ220mm
タイヤサイズ
F=120/70ZR17 R=200/55ZR17
全長/全幅/全高
2,070/740/1,160mm
軸間距離
1,440mm
シート高
824mm
燃料タンク容量
16.5L
車両重量
196.5kg(Mパッケージ)、200kg(STD)
価格
272万円~(Mパッケージ)、231万3,000円(STD)
協力/ BMW モトラッドジャパン