honda_cbfour_1999tmsmodel_20250507_main.jpg
このバイクに注目
HONDA
CB Four
1999 TokyoMotorShow model

あのCB Fourが陽の目をみるまで諦めたくない!【このバイクに注目】

Photos:
HONDA

1999年の東京モーターショーからCB1100で徐々にオリジナルコンセプトに近づいたが……

honda_cbfour_1999tmsmodel_20250507_01

忘れもしない、1999年の東京モーターショーに一般には何の前ぶれもなく展示されたショーモデルCB Four。
世界の4気筒スーパースポーツのルーツ、あのCB750Fourを彷彿とさせるスタイリングに、当時は叶わなかったカムシャフトがふたつあるDOHC、しかもシリンダーはバーチカル(垂直)で凛々しくそびえ立つ。
そしてラジエーターが影もカタチもない、正真正銘の空冷4発!
エンジンの鋳造状態が開発途中である証しが確認できる加工状態だったので、これは単なるショーモデルではない、おそらく750ではなく1,000でもない、900ccだろうという噂が飛び交っていた。

honda_cbfour_1999tmsmodel_20250507_02

実はこのバイク、実際には開発が走行テストの真っ最中で、排気量も900ccというのが漏れ伝わっていて、様々評価の確認として秘密厳守でネモケンがモビリティリゾートもてぎの本コースを数ラップだけ走っていた。
900ccというちょうど良いパワーバランスと、空冷ならではの人間の感性に馴染みやすいナチュラル・レスポンスのエンジンとハンドリング……。
これは歴史に残る名車に間違いない、開発陣にはそう太鼓判を押したのを今も忘れない。
それが実車として東京モーターショーで目の当たりすると、デザイナーが万感を込めたディティールに「CB750フォアが正常進化したカタチ」が反映されていた。
ホンダで4気筒を見つめてきたキャリアが、本モノを語るとこうなる、まさにその本質が伝わり誇らしく思えたほど。

honda_cbfour_1999tmsmodel_20250507_03

ところがそんな熱い期待で盛り上がったにもかかわらず、ホンダはまるで何もなかったように7年間も知らぬふりを貫いた。
ここまで時間が経ってしまうと、空冷ファンにも諦めの空気が漂いはじめたという2007年、東京モーターショーにCB1100FとCB1100Rが展示されたのだ。
それは水冷CB1300のシリンダー部分を空冷化してやや前傾したフォルムだったが、とにもかくにも新規で空冷4気筒がデビューしたことにファンは驚喜した。

honda_cbfour_1999tmsmodel_20250507_04

そうして2010年にその空冷CB1100をリリース。
元が巨大をコンセプトとしていたCB1300だけに大きなボリュームが目立ち、敢えてクラシカルな雰囲気を強調しようと燃料タンクがレトロに徹したカタチだったことから、CB Fourが目に焼きついていたファンからもっとスポーティな路線で!という声が高まりつつあった。

honda_cbfour_1999tmsmodel_20250507_05

しかしホンダならではの直4(並列4気筒)を知り尽くしたエンジニアたちによって、CB1100は空冷ならではの味わいある感性で、さすがと唸らせる完成度を誇った。
ホンダでもそんなCB Fourが忘れられないファンに応えようと、燃料タンクをスポーティさと伝統の4気筒を感じさせる丸みを帯びたフィオルムへ替えたのが2018年。
足回りも900cc開発で辿り着いていた、ナチュラルなバランスの良いスポーツフィーリングを醸し出そうと、前後輪の径やサスペンションをグレードアップ、ワインディングが楽しい空冷四発を具現化してみせたのだ。
とはいえ、ご存じのように2022年には惜しまれつつ生産を終了することになった。

honda_cbfour_1999tmsmodel_20250507_06

ただファンの心の中には、1999年に衝撃をうけたCB Fourの空冷900ccが未だに消えてはいない。
いうまでもなく、あのデザインはいまでも新しさを感じさせる普遍的な魅惑に包まれているからだ。
たとえエンジンパワーが厳しい排気ガス規制で50PSを下回ろうと、楽しく走れるトルクと何よりバランスの良い空冷4気筒ハンドリングさえあれば、どれだけのライダーがバイク人生でかつてない豊かな満足感と醍醐味に浸れるだろうかという夢を思い描いてしまう。
ホンダにしかできないCB900の復活を、ぜひとも望みたいと声を大にしてアピールしておきたい。