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このバイクに注目
HONDA
VFR750F
1990model

V4をレプリカではない新スーパースポーツへ分離したVFR750F(RC36)【このバイクに注目】

Photos:
HONDA

レーシーなレプリカではない欧米のスーパースポーツ需要に向け!

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ホンダが1980年代のHY戦争突入で懐刀として切り札だったV型4気筒。
GPマシンNR500をきっかけに、V型4気筒が耐久レースからF750まで世界のレースで無敵をイメージさせる最強のポジションを築いた。
ただワークスマシンRVF系から市販レーサーRC30やその後のRC45など、V4エンジンがあまりにレーシングマシン専用に思われてしまうのは、そもそものルーツからすれば不本意でもあったのだ。
そこでメカニズムなどハイエンドなVFR750Rをベースとしつつ、本来のスーパースポーツへと仕様を変えたVFR750F(RC36)を1990年にリリース。

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このスーパースポーツ仕様のニーズは、いうまでもなくヨーロッパが中心でアメリカも追随するマーケット。
70.0mm×48.6mmの1982年にデビューしたVF750F以来変わらないボア×ストロークの748ccは、ツーリングニーズとパフォーマンスを両立させる100PS/10,000rpmと7.45kgm/9,500rpmというスペックにまとめられていた。
バルブはロッカーを介さない直押しとしたため、シリンダーヘッドカバーがコンパクトになり、Vバンク間のキャブレターもファンネルが長くなったりスロットル動作のバキューム側をオープンエアに変えるなど、レース仕様とは違い細かなニュアンスでライダーの感性に馴染むノウハウが注ぎ込まれた。
それは初代VF750Fからすれば、とにかくストレートに回転上昇するに従い整然とモーレツなパワーが湧き出てくるフィーンリングだったものが、1986年にハイパーマシンの急増でアウトバーンなど高速道路で重大事故に繋がってしまったイメージを換えようと、ルックスからジェントルスポーツへイメージを変えた時点でも想像のつかない人間味に溢れたモノとなっていたのだ。

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この知る人ぞ知るNewV4の扱いやすく、イザというときひと鞭入れると俄然弾けるアグレッシブさとが同居したエンジン特性が、滅多にない他との違い、良い意味での大人好みのパフォーマンスとして人気が出はじめた。
こうして爆発的ではないものの、海外ではVFR人気が定着し1998年からは電子制御燃料噴射や排気量も781ccまでアップしたVFRへと進化、さらに改良が加えられながら熟成がはかられていった。

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これは2017年のVFR800Fでさらなる高次元設定となり2019年モデルではインターセプターカラーも加わりながら、2020年に生産を終了するまで40年近いV4の歴史が築かれていた。