超々高回転域で必須の精緻なバルブ駆動を可能にするカムギアトレーン!!

1983年、スズキから量産市販車の250ccクラスでは初のDOHC4気筒となるGS250FWがリリースされ、続いて1985年にはヤマハが同じDOHCでも気筒あたり4バルブのFZ250 PHAZERをリリース。
4気筒といえば、CB750フォアをはじめホンダのお家芸、なぜ手をこまねいて傍観を決め込んでいるのか、ホンダ・ファンは半ば痺れを切らしていた。
そして遂に1986年、そのホンダがCBR250FOURを発表、水冷DOHCでもちろん気筒あたり4バルブ、しかもカムギアトレーンというGPレースを闘うワークスマシンでしか見られない、産市販車で初の超高度なメカニズムを搭載していたのだ。



この超々高回転域でもバルブがピストンと衝突しないよう、チェーンのかわりにギア連結で駆動するカムギアトレーンは、正確なバルブ・タイミングが刻める必殺メカニズムだが、一般的なギヤの噛み合いではバックラッシュ(ギアがスムーズに滑り込めるよう隙間を与える)をとるのを、バルブ駆動ではこの微小なガタもリスクとなるため、お互いのギヤの歯を僅かズラした2枚歯として噛み合わせバックラッシュをゼロにする、特殊な構成としているのが特徴だ。
このカムギアトレーンのメリットから、CBR250 FOURのスペックは最高出力45P/14,500rpmで、レッドゾーンは17,000rpmと市販車の常識を遥かに超えたレベルに設定され、ライダーはほぼレーシングサウンドといえる刺激的な排気音を楽しむことができる。
そしてこのカムギアトレーンの配置だが、3番と4番シリンダーの間に1次減速の駆動ギアを刻み、これを受けるクラッチ側のドリブンギアからカム駆動するというサイズを嵩張らせない変則レイアウトとしているのだ。
シリンダーピッチも206mmしかなく、ミッションの配列も互い違いとして全長を詰めるなど、全幅で596mmと全長が419mmのまさにレーシングエンジンと呼べるコンパクトなサイズに収めている。



フレームはアルミのツインチューブで、中に2枚のリブが入った目の字断面として、薄肉軽量でも剛性を稼ぐ構成で、リヤサスはボトムリンクとして、エンジン近くに配置した低重心化に寄与するレイアウト。
アライメントはエンジンのシリンダーを35°前傾させ、ニュートラルなステア特性を狙うスポーティなハンドリングを意識している。

こうしてハイメカニズムを搭載しながらコンパクトに収めた結果、車重は乾燥で138kgしかない軽量にまとまり、エンジンのトルクは2.2kgm/10,500rpmを発揮するだけでなく、何と4,000rpmから80%のトルクが得られるのと、高回転域ではピークを過ぎ17,000rpmでも最高出力の90%を持続するという、さすがホンダと唸らせるポテンシャルだ。

その4気筒DOHC16バルブの高度な構成は、クロームモリブデン浸炭コンロッドを採用するなど、往復運動部品の軽量化を徹底して追求。
また4連キャブレターのエアファンネルは、#1に#2と#3と#4で長さの異なる不等長に設定、燃焼室までの吸気経路をほぼ一直線として、ボア径48.5mmに対し吸気φ18.7mmに排気φ16mmと大径での吸・排気効率を画策、低回転域から高回転域まで、どの回転域でも俊敏で応答性にすぐれスポーツ走行に適したエンジンを誇っていた。
そして翌年には車名をCBR250Rと変更した、フルカウルを纏いレッドゾーンを何と18,000rpmまで高めたハリケーンのペットネームが与えられだモデルとなった。



こうして先行されたライバルの4気筒勢を凌ぐパフォーマンスで他を圧倒し続け、さらにその差を決定的にすべく、CBR250RRとまさにレーサーレプリカ全盛期の仕様へとエスカレートしていった。
ただレーシングマシン的な高度化より、スーパースポーツとした佇まいを含めハーフカウル時代のCBR250 FOURの人気が高く、暫く併売されていた時期もあった。
ちょうど良い按配とは、まさにそのあたりだったのをあらためて認識させられたを忘れられない。



