限定車のCB1100Rから受け継いだスポーツ性のグレードアップ!

1978年、ホンダはCB750フォアから久しぶりの次世代ビッグバイク勝負球、DOHC化した4本マフラーのCB750Kをリリース、翌1979年にヨーロピアン・スポーツのデザインを纏ったCB750Fと続いた。
ヨーロッパはホンダもワークスマシンRCBで闘っていた24時間耐久レースのメッカ、その影響でカフェレーサースタイルがトレンドになっていた。
そうした気運にホンダは限定市販レーサーCB1100Rを発表、実際にレースにも出場するなど熱いファンには垂涎のマシンだった。



このCB1100R人気にあやかろうと、ホンダはCB750F/900Fを排気量アップして足回りをグレードアップしたCB1100Fを海外向けにリリース、これを日本国内向けへ反映した750cc版バージョンを1982年モデルとして投入したのだ。
CB1100Fと同様に、フロントフォーク径を2mm太いφ39mmとして、減速時のアンチノーズダイブとしてTRAC(ブレーキキャリパーが制動時の反トルクでボトムケースに内蔵されたダンパーを圧縮側で強める機構)を装備、リヤサスもリザボア・タンクと一体化(2kg/c㎡の窒素ガス加圧)したグレードアップ、さらに前19インとと後ろ18インチだったのを前後とも18インチと当時のレース仕様と同じサイズのタイヤを装着、カラーリングもレッドとホワイトにピンストライプのスポーツライディングを意識させる風貌へと変身してみせた。



この頃はまだCB750Kが4本マフラーだったように、750ccもしくはそれを超える排気量のビッグバイクは、まだ威風堂々の貫録あるライディングが主流で、コーナリングを楽しむのはミドルクラス以下と相場が決まっていた。
しかしカワサキやスズキの4気筒スーパースポーツも増え、アメリカのAMAスーパーバイクやヨーロッパの耐久レースなど、ビッグバイクでもコーナリングを攻めるシーンが増え、足回りもそうしたスポーツライディングに対応、ハンドリングも熟成が進む好循環にハマりつつあった。


そんな気運は日本国内にも波及して、大型バイクでもスポーツライディングを前提とした仕様が、新しい時代を象徴する流れと受け止めるようになっていた。
またそれまで許されていなかったカウリングの装着も、国内モデルでも可能になり、ホンダはINTEGRAのネーミングで400ccクラス以下でもロケットカウルの装着をする流行りをリードする側のメーカーだった。


実は同じ頃、ホンダは水冷V型4気筒のVFシリーズを発表していたが、まだラグジュアリーな振動のないハイグレード・ツラーとしての位置づけで、スポーツ性はワークスマシンのRCBが走る空冷4気筒のほうにイメージを重ねていたのだ。
ただ直後からV4のVFは、VFRとレーシーな方向へ着々と進化、世界を席巻するのはV4の時代へと突入していった。
そうした背景も含め、スポーティといっても活気とロマンが同居した善き時代のスーパースポーツとして、ひとつの完成したフォルムとして愛された時代だった。
この世代が好きなライダーにとって、このフォルムとグラフィックは、いまだに旧さを感じさせない「カッコ良さ」の象徴であるに違いない。



