ルックスはスーパースポーツでも、中身はF3レースで勝てるレプリカ仕様で開発!

1988年にデビューしたカワサキZX-4は、フォルムこそスーパースポーツ然としてライバルたちのレーサーレプリカに迎合していなかったが、実は開発意図がF3レース出場を前提とした過激なレプリカだったのだ。
カワサキは1985年のGPZ400Rが大ヒット、水冷DOHC16バルブ4気筒で、何と他ではヒットしないフルカバードボディという異端児。
ヨーロッパをはじめミドルクラスのツーリングを前提にしたスーパースポーツ路線だったからで、流行りのレプリカでなくてもカワサキだけの独自性が人気だった。
しかし1987年に後継のGPX400Rをリリースしたものの、益々盛り上がるF3レース人気に押し切られ、カワサキも遅ればせながら国内のF3レースへワークス参戦、併行して開発されたのがこのZX-4というのがデビューまでの経緯。



F3レースへ出場するベースマシンが開発の狙いの半分を占めていたので、600ccクラスと共有しない400cc専用設計。
エンジンは57mm×39mmの超ショートストロークで398cc。
DOHC16バルブを駆動するカムチェーンを右端に設定したコンパクト設計で、エンジン単体で48kgと軽さを達成。
シリンダー前傾25°にダウンドラフトキャブレターからのストレート吸気で、バルブ挟み角が25°しかないコンパクト燃焼室にコンロッドも短く軽量と、ハイチューン仕様に列していた。



その出力は規制値上限の59PS/12,000rpmで、リミッターが設定してある14,500rpmまで一気に吹け上がるピーキーさ。
F3レースのベースマシンを意識したアルミのe-BOXフレーム採用もあって、車重は何と152kg(乾燥)と当時の最軽量を達成していた。
ホイールベースも1,395mmと短く、24°のキャスター角はカワサキだと2スト250ccレプリカのKR-1と同じだ。
F3レースへ投入したワークスマシンからのフィードバックも功を奏し、これまで控えていた鬱憤を晴らすかのようにレース参戦でいきなりトップ争いへ加わった。




ハンドリングはアライメントから想像できるように、カワサキとしては異例といえる安定性より軽快な運動性を優先。
それはレーサーとしてのベースを意識したからに他ならない。
カワサキ乗りにしてみれば、かつてない落ち着きのないハンドリングだった。
ただ外観はご覧のようにレーサーレプリカ然とはしていない、どちらかというとツーリングモデルのカテゴリーを想像させるフォルム。
実はスリムなエンジン幅からカウルも真ん中を絞った空気抵抗の少ない空力特性だったが、そのスリムさも人気だったGPZ400Rのグラマラスなボリューム感とのギャップが大きく、カワサキファンの目を引かなかった。
この何を標榜しているのか、伝わりにくいルックスや広告キャッチなどもあって、ZX-4は鈴鹿4耐などを制覇しながら販売には結びつかず、翌年の1989年に今度は正真正銘レーサーレプリカのフォルムとなったZXR400へとバトンタッチすることとなった。
ただそのハイパーエンジンから車体構成までほぼそのまま引き継がれ、クラス初の倒立フロントフォークの採用など、カワサキの新たなレプリカ路線での位置づけをアピールする、大事な役割を担うマシンで期待通りに注目を集め人気車種となったのだ。



