独創のモノコックZX-12Rとの棲み分けでツアラー要素の完成度を高める!


1990年の登場以来、フラッグシップといえばZZRと定番扱いされるほど、世界中でヒットしたZZR1100の後継として、2002年にリリースされたZZR1200。
実は2000年にデビューしていたZX-12Rが、本来はZZR1100の位置を継ぐ存在だった。
しかしスズキのHAYABUSAが300km/hオーバーの最速を誇るなど、フラッグシップとして君臨してきたカワサキがその座を奪還するための戦略マシンとしての狙いから、320km/hを目指し新設計された巨大なボア径の83.0mmに55.4mmのストロークで1,199ccから178PS/10,500rpmを発揮する超強力エンジンと、軽量かつ運動性を飛躍的に向上させるためエンジンの両側をメインチューブが通るツインチューブ(ペリメーターフレーム)ではなく、エンジンの上を中空のアルミモノコックが覆い被さる革新的なシャシー設計で車重が僅か210kgという、いわばレーサーレプリカ的に乗り手の経験がモノをいうハンドリングのマシンだった。
これはフラグシップの存在を、悠々と乗りこなし長距離ツーリングも厭わなかったZZR1100ファンを面食らわせてしまったのだ。


この先鋭化に過ぎたZX-12Rに、カワサキはZX-12R開発と併行していたZZR1200の開発を復活、ZZR1100で好評だった側の要素を磨き込んで熟成させることに専念、2002年に市場投入へ漕ぎ着けた。
エンジンはZX-12R用ではなく、ネイキッドのローソンレプリカ系列で2001年にリリースしたZRX1200Rをベースとして、ボア×ストロークが79mm×59.4mmの1,164cc、最高出力を152PS/9,800rpmと12.6kgm/8,200rpmのパフォーマンスを得ながら扱いやすいチューンに徹したのだ。
しかもZX-12Rが神経質な燃料噴射だったのを、敢えてキャブレター仕様で開発、低い回転域から頼もしいレスポンスで力強いトラクションを発揮する、ライダーの感性に馴染みやすい特性で好感度を得ることに成功。
シャシーもZZR1100のペリメーターフレームを踏襲、スイングアームを軽量高剛性な六角断面に復活したり、カートリッジダンパーの減衰特性にゆとりのある正立フォークの採用など、コンベンショナルであってもZZR1100を凌ぐ乗りやすさを追求していた。


またミッキー(ミッキーマウス)と呼ばれた4灯ライトの顔立ちからも伝わるように、CD値を徹底追求していたZZR1100と違って、ライダーの両腕や両肩など高速域のウインドプロテクションを優先、実際に走るとヘルメットからすべてに走行風を少なく感じ、長時間でもリラックスできると評判になったほど。
ハンドリングも鋭くはないが、落ち着いたフィーリングのまま意外なほど軽快に操れると熟成ぶりも好評だった。




こうしてZX-12Rとの棲み分けを決めたZZR1200は、世界へのアピールもいわばツーリングマシン然とした方向性へ絞られ、カワサキファンには安心して乗れる信頼感を取り戻した。
ただそうなると、カワサキの強みである頂点としての凄みのあるバイクづくりの血が騒ぎだしたのだ。
ジェントルで親しみやすいカワサキのフラッグシップ……それはカワサキ自身で違和感を覚える気運が支配的になりつつあったという。
ZZR1200の広告で、あまりのスタートダッシュに洋服だけ置いていかれた……そんなバイクが映っていない展開まで登場したのも、カワサキのDNAが何であるかを物語るひとつだろう。


そして再びZZR1200とZX-12Rを統合しようという目論見がスタート、ZX-12Rの画期的なエンジンとシャシーをZZR1200の4灯フォルムと融合させ、その異様さに思わず凝視させられるZZR1400が2006年に登場することとなるのだ。




