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このバイクに注目
KAWASAKI
Z650
1977~1983model

Z650はミドル人気の火付け役でKawasakiの名を世界へ広めた!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI

ザッパーが実は優れたハンドリングの評判で売れ線モデルに!

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1972年のZ1で見事に初の4ストロークDOHC4気筒で大成功を収めたカワサキ。
破竹の勢いで世界を席巻していく流れの中で、カワサキは君臨するZ1のワンサイズ小さいモデルを用意した。
威風堂々のZ1は良いとして、マッハIIIでライダーを振り落とさんばかりにカッ飛んでいく「キケンな匂いのカワサキ」を消してしまうワケにはいかない。
ということで、フラッグシップの宿命で大きく重くなる構成ではなく、コンパクトでエンジンパワーで強烈にダッシュする「ザッパー」を目指すバイクの開発に着手していた。
因みに「ザッパー」とは造語で、風切り音とエンジン音の混ざったカッ飛びバイクを表現したもの。

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その「ザッパー」に設定したエンジンは、DOHC2バルブで62mm×54mmの652cc。クランクシャフトをZ1まで組み立て式だったのを、初めてプレーンベアリング(メタル軸受け)支持の一体鋳造の方式を採用していた。
性能は64ps/8,000rpmと5.8kgm/6,500rpmで最高速度は190km/hを誇り、コンパクトな車体はまさに鋭さに満ち溢れたパフォーマンスを発揮した。
ただマッハIIIと大きく違うのは、ダブルクレードル・フレームを含む車体まわりの設計に優れ、暴れ馬イメージはすっかり影を潜め、扱えるパワーと乗りやすいハンドリングで、腕に覚えのあるライダーに高評価の傑作マシンという評判が世界中を駆け巡ったのだ。

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この絶妙なサイズ感のバランスの良さを探り当てたカワサキにはさすがという他はなく、この傑作エンジンは後にZ400/500やZ750(FX)のベースとして活用されていったのだ。
その転用されていったワイドさは、ミドルクラスというユーザーが圧倒的に多い糧ギリーで、Kawasakiのブランド名を多くに浸透させていったのは間違いない。

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1976年末のリリースから1977年までのB1~B3モデル、1980年までのC1~C4モデル、そしてF1から1983年のF4モデルまで、基本的な構成は変わることなく継続生産されていた。
ただ国内モデルはナナハン絶対王者の気運のなか、排気量が半端なのに価格はナナハン並みと、いまひとつ流行るまでの拡がりは見せずに終わっている。

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しかしヨーロッパを中心に、ツーリング好きのファンにはこのミドルクラスの人気が根強く、600ccクラスの中心的存在だった実績は大きい。
日本メーカーが、トップパフォーマンス狙いだけでなく、実質的にバイクライフを楽しもうというピュアな層へ、確実な性能と安心を届けてきた貢献度は、はかり知れないものがある。