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このバイクに注目
MV AGUSTA
F3 RR
2022model

【MVアグスタF3 RRにアクラポビッチ装着した試乗インプレ!】パワーもサウンドも悦楽の境地、さらにECU交換は……

Photos:
真弓悟史

エンジン特性を明確に変化させ力強い中速域を
そのまま高回転域へ見事に繋いでみせる

MV AGUSTA「F3 RR」アクラポビッチマフラーとECU交換の試乗インプレ Vol.2|RIDE IMPRESSION|RIDE HI

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前回、これまでのROSSOと乗り較べた新型RRは、リヤのピボットまわりで剛性バランスを変え、リヤサスそのものをトラクションなど荷重に対応する「動き」を伴う設定となり、サーキットのような高荷重なコーナリングだけでなく、一般道路のワインディングでも開けて操る醍醐味を感じやすいハンドリングへと進化させていたのを確認できた。
そして今回は前回お伝えしたように購入時に同梱キットとして含まれている、アクラポビッチのマフラーユニットへ交換したバージョンへ試乗することとなった。
走りだした途端に感じたのが、そのサウンドの違いだ。3気筒の独得な低周波と共鳴した感じとが混在したヴォ~といった音質が、何とソフトタッチな印象でよりジェントルに伝わってくるではないか。
しかも中速域で大きく開けると下から湧き出るかのように強大なトルクが呼び出される。
そして中速域から高回転域まで回すと、純正マフラーの尖った一直線な上昇ではなく、トルキーなまま一気にピーク域まで繋がった感じでパワーが真っ直ぐ上昇する。
正直ここまで中速域を力強く、そしてピーク域のパワフルさが得られる大差は想像もつかなかった。言いにくいが、オリジナルのエンジンを開発したチームが顔色を失うほど魅力度が大幅にアップしている。

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マフラー専門メーカーは、エンジンの吸ったり吐いたりを効率良く導くマジシャン的なノウハウを持っていて、もちろんそこにはメーカーという立場だと、型式認定のため規制をクリアしなければならないハードルが立ちはだかっているため、単純比較されたらたまったものじゃないだろうが、しかし結果としてオリジナルより多くの面で秀でた特性となるのは、このアクラポビッチでも明確だった。
ましてや高回転域でのサウンドたるや、カン高くなりながら品位を感じさせる美しいサウンドを聞かせるのだ。
さらに、このフルチタン製の膨張室からテールサイレンサーまでがコンパクト且つ当然ながら比較にならない軽さを誇る。重心に近いといっても10kg近い差は、操っていて明らかに自由度で違ってくる。
一般公道仕様(車検対応)ということなので、3本のテールパイプにこだわりを持つなら仕方ないが、オーナーは間違いなくこのアクラポビッチのマフラーに交換して乗ったほうがより楽しめるのは間違いない。

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サーキット仕様のECUで目覚めた全域でスープアップ
排気量が100cc違うといえる力量の違いに酔いしれる

そして最後に、これはサーキット走行を目的とした仕様のECUに交換しての試走。一般公道で走ることのできない設定である。 結果はさらなる桃源郷へ連れていかれる素晴らしさというほかなかった。
いわゆる昔から言われるレーシングチューンの、どこか鋭く尖った勢いの凄いパワーフィーリングはどこにも存在しない。
一般公道仕様の低回転域から中速域と、どこからでもスタンダードを上回る力強さで、しかも常にジワッと呼びだせるので唐突な突き飛ばされるようなダッシュはない。
そしてそして、13,000rpmを越える域まで回るそのピーク域は、3速以上でもローギヤと錯覚するようなツルッと回り切ってしまうまでが瞬時というウルトラパフォーマンスなのだ。
正直、もう高回転域を多用するほど刺激に飢えてないし……などと言い訳しながら回さずに乗ることが多かったこの頃だったが、今回ばかりは点火カットまで回してニンマリする病的な感染状態にあったのを告白しておこう。いやはや、たまらない!

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とくに中速域からスロットルの開け方で様々試してみたとき、ジェントル且つ力強いというレスポンスは、ビッグバイクの懐の深さと通じるものがあった。
宮城さん曰く、天才タンブリーニのMVアグスタでは初となったF4 Serie Oroが750ccで逞しさと繊細さのちょうど良いバランスを得ていたのと似ているとのこと。なるほど、それは納得のいく評価だ。
端的にいうと、100ccほど排気量をアップすれば得られる力量と余裕を、元の800ccで得てしまうことができた仕様だ。
もちろん、こうしたパフォーマンスをパーフェクトに路面とを繋ぐ操り方を指南してくる完璧なシャシーが、MVアグスタのトータルでの魅力というか「魔力」であることを付け加えておきたい。

F3系には既に10年以上の歳月が流れた。これをもう新しさがないとするか、この積み重ねがあってこその完成度とするか、そこはファンの心次第だろう。
ただこれだけはいえると思うのが、チューンしても鋭く尖らず、むしろツーリング向きに懐を拡げていく進化など、昨日今日のエンジンにはできないという事実だ。
MVアグスタは、意外なほど堅実に足場を固めつつ歩んでいた。

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SPEC

Specifications
MV AGUSTA F3 RR
エンジン
水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量
798cc
ボア×ストローク
79.0×54.3mm
圧縮比
13.3対1
最高出力
108kW(147hp)/13,000rpm (Racing Kit装着時:114kW・155hp/13,250rpm)
最大トルク
88Nm(8.98kg-m)/10,100rpm
変速機
6速
フレーム
トレリス
車両重量
173kg (Racing Kit装着時:165kg)
キャスター/トレール
26°30’/108mm
サスペンション
F=テレスコピック
R=スイングアームモノショック
タイヤサイズ
F=120/70R17 R=180/55R17
全長/全幅/全高
2,030/730/NAmm
軸間距離
1,380mm
シート高
830mm
燃料タンク容量
830mm
燃料タンク容量
16.5L
価格
324万5,000円(税込み)
協力/ MVアグスタジャパン