mvagusta_brutale800rosso_210407_main.jpg
このバイクに注目
MV AGUSTA
BRUTALE 800 ROSSO

【MVアグスタ ブルターレ800ロッソ インプレ vol.1】コストとパフォーマンスがバランスしたMVアグスタのスタンダード

一部の装備を簡略化し、買いやすい価格を実現したMVアグスタのエントリーモデルが「ROSSO」の名を持つシリーズだ。現在、3機種がラインナップされている内、最も敷居が低い「ブルターレ800ロッソ」を紹介しよう。

2020年にMVアグスタのラインナップへ加わった新グレードが「ROSSO」(ロッソ)だ。798ccの3気筒エンジンを搭載する「ブルターレ」、「ドラッグスター」、「ツーリズモヴェローチェ」の3機種に設定されたわけだが、ここでは「ブルターレ800ロッソ」(以下、ロッソ)の概要をお届けしよう。

ROSSOはイタリア語で「赤」を意味する言葉である。語感から刺激的なホットバージョンを想像するかもしれないが、その役割を担っている上位グレードは「ブルターレ800RR」(以下、RR)であり、究極は998cc4気筒エンジンの「ブルターレ1000セリエ・オロ」だ。

では、このモデルのポジショニングはと言えば、ブルターレシリーズのスタンダード、もしくはエントリーに位置。現行のMVアグスタの中、最も買いやすい189万2000円というプライスタグを掲げているところからもそれが分かる。ブルターレ800RRの価格は212万3000円であり、ブルターレ1000セリエ・オロのそれは605万円だ。

mvagusta_brutale800rosso_210407_01

2020年3月に導入されたされた「ブルターレ800ロッソ」。その車名の通り、赤を強調した外装色が与えられ、スペックはイタリア本国仕様と同一だ

変更箇所は最小限

さて、気になるのはプライスダウンの中身だろう。MVアグスタを求めるユーザーにとって、安かろう悪かろうは受け入れられるものではない。

結論を先に書くと、外観の違いはリヤホイールに切削加工を施しているか、いないかだけである。RRのスポーク部分にはフライスが当てられ、シルバーのアルミ地が露出。それがデザイン上のアクセントになっている一方、ロッソにはその工程がなく、ブラック一色で引き締められている。サイズ、材質、製法に差はなく、いずれも3.50×17インチのアルミ鋳造ホイールだ。

それ以外は、燃料タンクとシュラウド、シートカウルが専用の赤で塗装されているだけで、特徴的な楕円形ヘッドライトも前後足周りも液晶ディスプレイもそこに表示される各種電子デバイスの項目も、まったくの共通となっている。

一方、明確に差があるのは、目に見えないエンジンスペックだ。RRの最高出力が140hpに達している一方、ロッソは110hpに抑制されている点が大きい。これは主にインジェクターの違いがもたらすもので、RRが1気筒当たり2本のインジェクターを備えるのに対し、ロッソは1本で燃料を供給。それにともなって圧縮比とマッピングが最適化されている。

mvagusta_brutale800rosso_210407_02

798ccの水冷DOHC12バルブ3気筒エンジンを搭載。それを懸架するフレームは、スチールパイプをトレリス構造で組んだMVアグスタ伝統の形式だ。シフトアップとダウンのいずれにも対応するEAS(エレクトリックオートシフター)を標準装備

mvagusta_brutale800rosso_210407_03

リヤホイールには切削加工が施されておらず、ここだけがブルターレ800RRとの外観上の差だ。3気筒エンジンならではの造形を持つマフラーは、独特のビートを発する

mvagusta_brutale800rosso_210407_04

燃料タンク容量は、16.5リットル。その上部は左右に大きく張り出し、エッジを効かせている一方、ニーグリップ部分は引き締められ、良好なホールド性が確保されている

高回転域より低中回転域を重視

マイナス30hpがどんなフィーリングをもたらすのか? その詳細は、vol.2のインプレッション編にてお届けする予定だが、もちろん単なるパワーダウンではないので、安心してもらっていい。簡単に言えば、高回転域の出力を削り、そのぶんを低中回転域の強化に振り分けてある。ストリートやワインディングでは扱いやすさが光ることになり、花より実を取ったフレキシビリティが好印象だった。

特に注目すべきは、最大トルクの発生回転数が10,100rpm(RR)から7,600rpm(ロッソ)に2,500rpmも引き下げられている点にある。3気筒エンジンはそもそもトルクフルなことに定評があるが、さらに強調されているというわけだ。

電子デバイスはRRと共通と書いたが、その内容を記しておこう。スロットルにはライドバイワイヤを採用し、「MVICSイグニッションシステム」と呼ばれるマネージメントシステムが出力特性を管理。エンジンモードには、SPORT/RACE/RAINがデフォルト設定される他、ライダーの好みを反映できるCUSTOMを加えた4パターンが用意されている。

また、8段階のトラクションコントロール、シフトアップとダウンの対応するクイックシフター、リヤホイールのリフトを検知するABSを装備し、これらの制御項目はRRのみならず、F3 800とも共通だ。

mvagusta_brutale800rosso_210407_05

ポジションはやや低めにセットされたアルミテーパーハンドルを装備。エンジンモードはハンドル右側のボタンで選択でき、走行中の切換も可能だ

mvagusta_brutale800rosso_210407_06

メーターはコンパクトな液晶ディスプレイ。タコメーターにはバーグラフを採用し、ABSとトラクションコントロールの介入度、エンジンモード、水温、スピードといった情報をシンプルに表示。高い視認性を誇る

つまり、3気筒エンジン特有の湧き上がってくるようなトルクを、より低回転から抽出。スロットルの開けやすさに特化したモデルが、このブルターレ800ロッソである。本質を損なうことなく、手に入れやすい価格を実現していることの意義は大きく、vol.2ではそのポテンシャルに迫っていくつもりだ。

mvagusta_brutale800rosso_210407_07

SPEC

Specifications
MV AGUSTA BRUTALE 800 ROSSO
エンジン
水冷4ストローク DOHC 4バルブ 並列3気筒
総排気量
798cc
ボア×ストローク
79×54.3mm
圧縮比
12.3対1
最高出力
81kW (110hp)/11,500rpm
最大トルク
83Nm (8.46kgm)/7,600rpm
変速機
6速
フレーム
スチールトレリス
乾燥重量
175kg
ブレーキ
F=φ320mmダブル R=φ220mm
タイヤサイズ
F=120/70-17 R=180/55-17
全長/全幅
2,045/875mm
軸間距離
1,400mm
シート高
830mm
燃料タンク容量
16.5L
価格
242万円~
協力/ MVアグスタジャパン