yamaha_srv250_20230815_main.jpg
このバイクに注目
YAMAHA
SRV250
1992model

ヤマハが狙った250トラッドスポーツは空冷Vツインだった!?【このバイクに注目】

時代に媚びないトラディショナルモデルを目指す!

yamaha_srv250_20230815_01

ヤマハは1980年の2スト革命児のRZ250以来、需要の多い250ccクラスへ1985年に初の16バルブ4気筒のFZ250 PhazerとGPマシンそのままのTZR250、続いて翌年にはFZR250、単気筒のSRX250、1987年に200ccのSDR、1988年のXV250 ViragoにTDR250と、実に多様多機種をリリースしていた。

この中でトラディショナル・スポーツは単気筒SRX250を2世代に渡り投入してきたが、2気筒は'70年代GX系パラツインから手を染めてない。

yamaha_srv250_20230815_02

ということで、1988年のXV250 Viragoの空冷60°Vツインに白羽の矢が立った。
しかも250ccツインではVであろうが並列だろうが、まず採用はしないロングストローク。このクラスにトルキーな特性を込めるという異端児エンジンだ。

コンセプトは時代に媚びないトラディショナルモデル、そこに大人の感性で質感を求める等々、ヤマハらしさを込めようということになっていた。

250ccでは類をみないクオリティを込める

yamaha_srv250_20230815_03

果たしてトラディショナルなデザインは、さすがヤマハで時代を超越した新し過ぎず旧くもない、大人好みのヨーロピアンな感性でまとめられた。
Vツインならではの単気筒と変わらないスリムなエンジンに呼応して、燃料タンクは上から眺めると細身が強調された個性豊かなルックスだ。

yamaha_srv250_20230815_04

ボア×ストロークが49mm×66mmという、明確なロングストロークで、低い回転域は250ccを感じさせない粘りと穏やかさを特徴としていた。
反面、回転を引っ張ってもピーク域を感じさせる気配がなく、そこがトラディショナルといえど250ccのスポーツ性を期待していた層の受け容れにくさにもなっていた。

開発当初からの目標でもあった、高張力鋼管によるダブルクレードルフレームをはじめ、電着+静電塗装でタンクやサイドカバーまで耐候性のあるクオリティとしたり、サスペンションなど400ccクラスの仕様を奢る大人仕様にこだわっていた。
それはいまでも愛用されているSRV250が、依然として輝きを失っていないことからも立証されている。

翌年にSモデルを追加、1996年にはルネッサへと変身……

yamaha_srv250_20230815_05

大人を意識するあまり、車体色は基本一色にこだわった結果、美しいデザインながら地味にも感じてしまう可能性から、翌年にはマスコット_スクリーンを装着して、車体色もツートンのグラフィックで落ち着いた中にも華やかさを感じさせるSモデルが加えられた。

yamaha_srv250_20230815_06

さらに1996年にはタンクやシート類のデザインをライト・スポーツ系へ一新したモデルも派生、SRV250のネーミングは外され車名もルネッサとなったが、需要喚起には繋がらなかったようだ。
かくもトラディショナル・スポーツは、ニーズは潜在的に多いものの、趣味性にこだわる層が中心であるため、ヒットする例は歴史上も少ないのは事実。
ただそこへチャレンジを続けていたヤマハに、実は開発側のこだわりが深く、それだけ多様な機種の開発に手を染めていたのは間違いない。
ファンとしては嬉しいかぎりだったが、この'90年代を境に、そうした自由度に制約がかかりはじめたのが残念でならない。

yamaha_srv250_20230815_07
yamaha_srv250_20230815_08