4気筒シリーズの完結バイクとしてリリース!

1972年6月、ホンダはCB350フォアを発売した。
1969年に衝撃のデビューを果たした世界初の量産4気筒スーパースポーツ、CB750フォアはホンダも想像していなかったほど世界に4気筒ブームを巻き起こし、これに続けと500ccと350ccクラスにも4気筒スーパースポーツをリリースしたのだ。
当時350ccクラスはホンダも並列2気筒のCB350があり、4気筒モデルはより高級で落ち着いた雰囲気のツーリングスポーツに位置づけての開発だった。

SOHC4気筒は、47mm×50mmと過剰に高回転化を嫌いショートストロークを避けた347cc。
34PS/9,500rpmと2.7kgm/8,000rpmと意外なほど控えめなスペック表記だった。
開発の狙いにあった静粛でスムーズ、粘り強さを求めた結果、フラットな特性でこれが刺激の少ない、スロットルを捻っても加速しない、そんなキャラクターの印象を与えてしまったのだ。

車重は同じ4気筒のCB500フォアよりは軽量で184kgだったが、34Pと2.7kgmは非力の印象が支配的で、4本マフラーとビッグバイク並みのフォルムも却って格下なイメージを与えてしまった。
そんな日本国内での評価に対し、海外では若年層や女性ライダーにも楽しめる斬新な4気筒として注目度が高く、中型(海外では軽量クラスの認識)に高級バイク登場とデリバリー台数が少なかったこともあって希少バイク扱いだったのだ。



とはいえお膝元の日本で売れない350cc4気筒は、その大人っぽいルックスや落ち着いた走りなどイメージそのものを覆す方策が必要と判断された。
そして2年後に登場したのが、ご存じCB400Four、いわゆるヨンフォアだ。
カフェレーサーのイメージで4into1の集合管を装着したマフラーで、スポーツ度と熱い感性を漂わせた変身ぶりは大成功を収めた。
そんな日陰な存在のCB350フォアだったが、あらためて眺めるとトラディショナル且つエレガントで、美しさを漂わせる佇まいに思わず気を引かれる魅力で再認識させられた。
