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このバイクに注目
YAMAHA
XJ600N
1994~2002model

輸出専用だったDiversionネイキッドが国内販売されていたら?【このバイクに注目】

XJ600Sのネイキッドがヨーロッパのニーズに応え追加されると好評で売れ筋モデルに!

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1994年から2002年までの間、ヤマハには輸出専用モデルとしてXJ600Nというネイキッドスポーツが生産されていた。
600ccクラスは国内向け400ccクラスとベースを共通に開発されることが多い。このモデルもハーフカウルのXJ600Sのネイキッド版で、それは国内モデルで1991年に鳴り物入りで投入されたXJ400S Diversionとベースを共有していた。
国内向けDiversionは、1989年にネイキッド旋風を巻き起こしたカワサキのゼファーに対抗し、レプリカに辟易とした層がベーシックスポーツへ興味を向けた流れかを、ヤマハはヨーロッパで600ccクラスがツーリング嗜好を強めてきたムーブメントを新しい「風」として提唱しようという意図が込められていたのだ。
しかし国内では唯々ネイキッドにハマっていく流れが強く、Diversionはあえなく潰えてしまい1993年に新ネイキッドのXJR400が投入されたのはご存知の通り。
いっぽうヨーロッパ向けDiversionのXJ600Sは、アベレージ速度の高いツーリング仕様を求めるようになってきた流れと、敢えて空冷で2バルブDOHCと、性能よりトラディショナルなオートバイらしさがミドルクラスのユーザーに好まれると睨んだのは正解で、XJ600Sは1992年の発売から順調にニーズを伸ばしていた。

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ヨーロッパ向けにはDiversion、アメリカ・カナダではそれまでのライイナップに沿ってSecaのニックネームがつけられたXJ600Sは、とくにヨーロッパで空冷2バルブDOHC仕様との相性から、むしろノンカウルでタウンユース・イメージのXJ600の後継機種としてのニーズもカバーできる筈と、1994年からXJ600Nが追加されたのだった。

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新規に設計された空冷4気筒600ccエンジンは、吸気と排気をダイレクトに駆動するDOHCながら何と敢えて2バルブ仕様。
ボア×ストロークは58.5mm×55.7mmの598cc。最高出力は61PS/8,500rpm、最大トルクが5.6kgm/7,500rpmと、前傾35°でダウンドラフト・キャブレター装備で新しい世代をアピールしつつ、尖っていない実用域を重視したスペック。
空冷のため冷却を考慮してシリンダー間をやや拡げ、エンジン幅がワイドになったもののDOHCのカムカバーに卵形に丸みをつけたデザインが薄肉化を可能にするなど、軽量化と低重心化の達成に向け新しさへのチャレンジも少なくない。
因みにエンジンの搭載には、右前と左後をリジットマウント、左前と右後をラバーマウントして、車体やライダーに伝わるクランクの偶力から発生する不快な高周波振動を抑制している。

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フレームは大径φ38mmの高張力鋼管ダブルクレードルで、ダウンチューブからピボットまわり、そしてタンクレールからそのままステアリングヘッドへとループ式に戻る新世代レイアウト。
縦方向で83kgf/mm、横方向に101kgf/mmであるのに対し、捩じり方向は203kgf/mmと、縦横でしなやかに捩じりで約2倍の剛性値で腰のあるしっかりしたフィーリングを与えたという。
リヤにモノサス装備でシンプルな構成なことから乾燥で187kgと扱いやすさを感じさせる。
排気の取り回しでエキゾーストを1番と4番をクロスさせながら、2番と3番を集合して排気効率とサウンドにも配慮、トラディショナルな雰囲気を醸し出すコンセプトが貫かれていた。
シリンダーの冷却フィンも目立つ存在で、エンジン音の反響まで反映させた形状とするなど凝ったつくりになっている。
その美しさは、いま見てもヤマハ空冷4気筒の中でで抜きん出たレベルといえるのは間違いない。

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1994年のデビューからネイキッドXJ600Nは、4年間フロントブレーキがシングルディスクだったが、1999年モデルからはSバージョンと同じダブルディスクとなっている。
2002年までの間に増えていったカラーバリエーションの多さも、ヨーロッパのミドルクラスが年齢層が幅広く存在するのを意識した展開だ。

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ただ国内では1993年から新ネイキッドのXJR400が存在することから、Diversion版ネイキッドのXJ400Nは生産されていないが、唯一の例外としてXJ400SをベースにネイキッドとしたXJ400Lが、教習所専用の車輌として少数だが生産されたので、一部のライダーには見覚えのあるモデルかもしれない。

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欧米のユーザーが、基本設計から手間をかけた内容をよく見極め、長距離ツーリングの頻度が低いユーザーを中心に、その手堅さが評価がされていたのも、マーケットをよく知っているヤマハならでは心配りが功を奏していた。
これがその後に高い評価でヒットした、FZ6S/Nへと受け継がれていったのだ。