A.離されないようにコーナーの通過速度を上げすぎているのかも
ワインディングを走っていて、
ペースはそれほど違っていないのに、
前を走る人に比べて、自分のバイクの
バンク角のほうが深いことに気づきました。
自分の乗り方に問題があるのでしょうか?
複数台で走るときに生じる “落とし穴”
大小さまざまなコーナーが続くワインディングで、前車とご自分とのバンク角の差というのは、お気持ちが偶然そこにフォーカスされたので気がつかれたのだと思います。バイクの機種や年代、そしてライダーのキャリアが違えば、おそらく車間も近づいたり遠のいたりを繰り返していたはず。実はこの状況は、錯覚を起こす落とし穴とも言えるのです。
たとえばMotoGPなどのレースで2台のファクトリーマシンがサーキットをまったく同じラップタイムで走っていたとします。直線で300km/h近い状態で車間が1秒だとすると約83m離れていますが、ヘアピンのように小さなコーナーで100km/hまで速度が落ちると車間は28mまで縮まります。
追いかけているライダーからすると、ブレーキングで近づいたのに、コーナー立ち上がりで徐々に離されてしまう……同じマシンのはずなのに、自分は頑張っているのに、そう勘違いしてメカニックやエンジニアに抗議したり、立ち上がりで頑張り過ぎてクラッシュしてしまうこともあります。
入り口では詰まるのに直線では離されてしまう?
ブレーキングでは距離が詰まるのに、コーナーを立ち上がるとまた離れてしまう……。テクニックに差のないトップライダーが競い合うレースの世界では、速度と距離の関係が影響している。レースほどでないにせよ、ワインディングでも同様のことが起きている。公道では前のバイクについていこうとするより、自分のペースを守るのが重要である
負荷は後ろを走るライダーに……
競い合って走っているつもりはなくても、車間で前車とのペースを保とうとすると、前述のレースと同じ落とし穴にハマる可能性があります。立ち上がりで徐々に離れるので、離されないようにコーナー中間地点の通過速度を無意識のうちに高めるようになり、それがバンク角を深くしているのかもしれません。
以上のように、お互い無理をしない前提でも、前車との車間を一定に保とうとすると、追従する側にどうしても負荷が高くなりがちになることを忘れずにいてください。
もちろんバイクの特性の違いをはじめ、乗り方やキャリアの違い等々、そもそも同じペースでワインディングを走るのは至難の業です。大事なのは、ワインディングに差し掛かったらお互い車間を大きめにとって、ご自身のペースでマージンをはかりながら走るということでしょう。仲間に遅れないようにとか、余計なプレッシャーでついペースを見失ってしまわないよう、気をつけたいものです。