A.ちょうど良い速度まで減速するコツをお伝えしましょう
A.ちょうど良い速度まで減速するコツをお伝えしましょう
オートバイにもだいぶ慣れましたが、ブレーキングが苦手です。
カーブのどのあたりから、どの程度かければいいのかわかりません。
そのため、かなり前で速度が落ちすぎて加速し直すこともあります。
ハードなブレーキングをイメージしすぎ?
MotoGPなどのレースでは、ハードなフルブレーキングでマシンの後輪が浮いているスローモーション映像が流れることがあります。コーナー手前のブレーキングには、こうした限界まで攻めているイメージがあるかもしれません。
そこまでリスキーに走らないまでも、コーナー手前でちょうど良い速度まで減速、そのまま深いバンクで駆け抜けたらカッコいいし満足度も高い……そんな憧れがあるのかもしれません。
でも実際のワインディングはブラインドコーナーがほとんどで、先が見えないコーナーばかり。いざコーナーに差し掛かったら速度が速過ぎて曲がりきれない……そんなリスクを考えてしまい、速度を落とし過ぎてカーブの入口で再び加速する始末。
どうしたらキャリアのあるライダーのように、あのちょうど良い速度で吸い込まれるようにコーナーへリーンしていけるのか? まだコーナリングに慣れていない時期には、そこが知りたくなるポイントですよネ。
最初にお伝えしておきたいのが、カーブに対する警戒心を払拭したいとお考えにならないことです。バイク乗りにとって、警戒心は身を守る防衛本能が正常に働いている証し。怖さを感じなかったらどれほど危ないか……。慣れていないことや、いつもと違う気配を感じたとき、この警戒心こそがあなたを救うすべてだからです。
さて、ちょうど良い速度と大きく違わない進入速度にするための第一歩からお話しましょう。
「何速で曲がるか」を最初に判断する
それは目の前に迫ってくるコーナーを、何速を使って曲がるかを決めることから始めます。たとえばコーナーの手前で、カーブの入り口の曲率、つまりどれだけ曲がっているかを判断するのです。
具体的にはカーブのアウト側の縁が120度くらいの緩さに見えたら4速、90度くらいに見えたら3速としておきましょう。この予想したギヤにシフトダウンしてエンジン回転数が4,000回転以上にならないよう、ブレーキを使って調整しておくのです。
次にコーナー手前50メートルあたりまで進むと、どんなブラインドでも曲がった少し先の曲率角度が見えてきます。これが最初に判断した角度と違っていなければ、ブレーキを徐々に緩めながらリーンと同時に解放します。もし先がもう少し角度がきつくなっているように見えたら、リーンがはじまっても軽くブレーキを残して、さらに1速シフトダウンします。
およそこんな感じで操作を行っていれば、コーナー入口で再加速が必要な速度まで減速し過ぎることはなくなるでしょう。
コーナーの曲率を手前で判断
適切なブレーキングに必要なのは、次のコーナーを何速で曲がるのか決めること。そのため入り口の曲率を手前で判断する。アウト側の縁が120度程度なら4速、90度程度なら3速にして、エンジン回転数が4,000rpm以下にしておく
信号で停まるときのようなブレーキ圧で練習しよう!
そしてご質問のどこからブレーキをかけ始めるか? それは前述したようにコーナー手前で判断したギヤにするため、しかもシフトダウンを高すぎない回転域で行うために、慣れるまでは一定のブレーキ圧を意識しながら速度を落としていきます。その過程で適切な距離を目算で決めていきます。
最初はシフトダウンに気を取られたり、かけ過ぎてしまったりすることがあるかもしれませんが、大事なのは強さの加減ではなく一定のブレーキ圧を保って減速し続けることです。強めにかけるとすべてがうまくいかなくなります。ツーリングでいつもかけている交差点の信号待ちで停車するときのブレーキングが、まずはすべてを身に付けるには最適の強さです。
こうやって、どんなアベレージ速度がコーナーの曲率にちょうど良いかに慣れていけば、徐々に余裕が生まれ、スムーズにコーナーへ進入できるようになっていきます。
でもくれぐれも焦らず、危険のない、怖くない範囲で繰り返してください。ドキッとすることがあれば、そこまで積み上げた体感に自信を失い水泡に帰してしまうことをお忘れなく。
一定のブレーキ圧で減速する感覚を養う
ブレーキングは強弱ではなく、一定のブレーキ圧を保って減速し続けることが大事。この状態で速度を落としながら曲がるポイントまでに必要な距離を目算で決めるのだ。まずは赤信号で停車するときの感覚で試してみよう
- Words:
- 根本 健
- Photos:
- 柴田 直行,折原弘之,真弓悟史