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洗車時、拭きあげる順番にこだわっていますか?【ライドメンテナンス010】

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伊藤康司,井上 演

洗車は、汚れを落とすという意識だけでなく、トラブルを発見する意識で行いたい!

昔から“洗車はメンテナンスの第一歩”といわれるくらい、愛車を快調に保つうえで大切なこと。バイク用品店では洗剤やワックスなど様々な洗車用ケミカルが販売されており、樹脂や塗装、カラーなどに合わせて使い分ければ、本当に美しく仕上げることができる。

また、『洗車=愛車を洗うだけ』と思わず、トラブルを発見する意識で行うと愛車のコンディンションを保ちやすい。まずは、タイヤの摩耗や空気圧、チェーンの遊びなど様々なところをチェックしながら洗車してみよう。

今回は、最後の拭きあげのコツを紹介。洗車の基本となる水洗いやシャンプーの後の拭き上げ作業にもちょっとしたコツがあるのだ。トラブルやサビの元になる水分をしっかりと拭き取ることが大切だが、その時の「ウエスの使い分け」を紹介しよう!

素材や場所ごとにウエスを交換するのが、愛車を傷つけず美しく仕上げるセオリーだ!

カウルやタンクといった外装パーツは、砂ボコリや水アカなどの汚れはあっても、オイルやグリスが付着していることは少ない(フェンダー裏やテールカウル下面は除く)。エンジン周りは、新車なら一見すると外装パーツと大差ないかもしれないが、車両によっては(旧車に限らず、数年経過したバイク)オイル滲みがあったり、その滲んだオイルに砂やホコリが付着している場合があるし、エンジンの下面には泥汚れやジャリジャリと砂粒がついている。

そしてホイールなど足周りは泥や砂粒に加え、ブレーキの摩耗粉(パッドの削れカスや細かな金属粉)や、リヤ周りは飛散したチェーングリスなども付着している。
これらの汚れのうち、単純な砂ボコリや泥汚れは水洗車で洗い流せるし、オイル滲みもシャンプー剤でキレイになる場合が多い。とはいえ、飛散したグリスや滲んだオイルにホコリや砂粒が混ざった頑固な汚れは簡単に落ちない。

またブレーキパッドやディスクの摩耗で発生する細かな金属粉は、摩耗して飛び散る時に熱を持っているのでホイールの塗装に食い込み、やはり落としにくい。だからシャンプー洗車後でも、これらの汚れは少なからず洗い残る。

そのため、ホイールやエンジン下周りを拭いたウエスは、キレイな水でしっかり濯いだとしても、わずかながら砂粒やオイル、グリスなどの油分が付いている。そんなウエスでスクリーンやカウル等の樹脂パーツや燃料タンクなどの塗装面を拭いたら、当然ながら磨き傷をつけてしまうし、油汚れを塗りつけることにもなりかねない。これでは本末転倒だ。

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キズ付きやすいスクリーンはキレイなウエスを使って最初に拭くコト。他の場所(とくに足周りなど)に使ったウエスは砂粒や油分が付着しているので、そのウエスでスクリーンやカウル類を拭くと磨きキズや油よごれがついてしまうので要注意

拭きあげるのは、車体の上側から。場所によってはウエスを使い分ける

だから洗車後は、スクリーンやカウル等、もともと砂粒や油分が付着していない“車体の上の方”から拭きあげていくのがセオリー。そして拭き取る場所ごとにウエスを使い分けることが重要だ。

そのために、とにかく洗車用のウエスはたくさん用意しよう。そしてキズつきやすいスクリーンやカウル等の樹脂パーツ、およびタンクなどの塗装面の拭き上げには、できれば洗車のたびに毎回新しいウエスを使おう(新しいといっても、使い古しのタオルや着古した綿のTシャツなどでOK)。

そして、そのウエスは次回の洗車ではエンジンや足周り用にする。またエンジンや足周りを拭き上げて汚れたウエスは、次回の洗車には使わずに、チェーンの清掃などのメンテナンス用にスライドしていけば、拭き上げで傷つける心配がないし無駄もなくなる。

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洗車後に拭きあげる順番の例。最低でも矢印に色分けをしたように、拭く場所に合わせてウエスを使い分けよう。最初にスクリーンやカウル、燃料タンクやサイドカバーなどの外装パーツ、シートなどを拭く。次にエンジンやフレーム。最後に足周りだが、先にフロントから拭き、チェーンなど油分が多いリヤは後から拭こう。ちなみに、風呂あがりに身体を上の方から拭いていくのと同じで、バイクも上から拭いた方が後から水滴が落ちてこないので効率的だ

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プロも使っているスコットのショップタオル。いわゆる使い捨てのペーパーウエスだが、吸水性に優れる上に破れにくく耐久性が高いので洗車後の拭き上げにもオススメ(水分を絞って繰り返し拭き取れる)、ある意味ウエスやタオルより使い勝手が良いともいえる。バイク用品店やホームセンターで手に入る