最近のバイクのオイルは減らないけれど……
エンジンオイルは「バイクの血液」と言われるくらい大切。だから定期的な交換はもちろん、日常的な“オイル量のチェック”も重要になってくる。現在主流の4ストロークエンジンは物凄く進化しており、シリンダーやピストンを潤滑するエンジンオイルは燃焼して排気ガスと一緒に排出されるものの、その消費量は猛烈に少ない。
逆に言えば、エンジンオイルが短期間で目に見えて減るようであれば、大量に燃焼しているかどこかから漏れているわけで、ようするに故障している状態。すでに重大なトラブルが出ているというわけだ。だからたまにはオイル量のチェックが必要なのだ。
オイルが減りやすい車種は?
最新バイクのオイルは、本当に減らない。構造上、オイルが汚れにくくなってきていることとエンジン内部の密閉性が上がっているため、オイル交換の距離も伸びている。昭和の頃は3,000km毎などといわれていたが、2021年モデルのドゥカティ ムルティストラーダ V4は1万5,000km毎(または2年)というロングスパンを実現している。
いまオイルが減りやすいのは、中古車で年式の古いもの。排気量が小さくて常に高回転で走っているバイク。通勤などで高回転常用でエンジンを酷使している単気筒のオフロード車などは要注意だ。こまめにチェックしないと、焼き付きが起きる可能性もある。
オイルチェックはエンジンが冷えている時? 暖まっている時?
現在はほとんどのバイクが“オイルチェック窓”を備えているので、エンジンオイルの量を確認するのはとても簡単……と言いたいところだが、しっかり気を付けるべきポイントがある。それはチェック時にきちんと車体を真っすぐに立てるコトだ。
そして常に同じタイミングで計測することも大切。例えばエンジンが冷えていてオイルがクランクケースに落ちている時とエンジンを始動していてオイルがエンジン内部を潤滑している状態ではまったく異なるからだ。
基本的には数分アイドリングさせてエンジンを止めて5分ほど経ってからチェックする。その時にオイルチェック窓の横の2本の線(上がUpper:上限、下がLower:下限)の間にオイルがあれば問題ない。ステックタイプの場合もUpper&Lowerの中間にあれば大丈夫だ。
1人で直立させるのは困難。仲間と確認してみよう!
直立させて計測するのは、ハンドブックにも書いてあるので「当然!」と思う方も多いだろうが、どれくらい垂直させるかが問題。少々厳しく言えば“水平器を使って確認するくらい垂直”にする必要があるのだ(スマートフォンの水平器アプリを活用するのもあり)。
センタースタンドを装備するバイクなら問題ないが、いまどきはサイドスタンドのみの車両が多く、じつは結構大変。
試してみればわかるが、車体の左右の傾きがホンの数度変わるだけで、オイルチェック窓から見えるオイル量は想像以上に変化する。実際は適正なオイル量なのにLowerを下回ったり Upperを上回って見えることもある。これでは前回チェックした時から減っているのか正確に判断できない。ともすれば前回より(見た目に)増えている場合もある。
なので仲間に支えてもらって確認するパターンが多いと思うが、その際はとにかくまっすぐ立っているかに気を付けよう。……というより、メンテナンススタンドで立ててチェックするのがオススメ。その際は、地面が水平な場所で行うのが必須。そして毎回同じ場所にスタンドを立てれば、前回と正確に比べることができる。ちょっと面倒かもしれないけれど、こういった気遣いが愛車を長持ちさせる秘訣だ。
数分間アイドリングさせて、エンジンを止めて5分ほど経ってからチェックする。オイルチェック窓の横の2本の線(上がUpper:上限、下がLower:下限)の間にあれば問題ない。ただし車体を垂直にきちんと立てないと不正確になるので要注意!
オイル量チェックの際には、車体を垂直に立てる。仲間に支えてもらったら、車体の真正面か真後ろである程度離れ、正確に垂直になっているか確認してからオイル量をチェック。かなり神経質に垂直にしたい
メンテナンススタンドで車体を立ててチェックするのが間違いない。地面が水平な場所を選び、あまり後輪が浮き過ぎないように、後輪がギリギリ浮くくらいに高さを調整して立てよう。写真のスタンドはJトリップ製。1人で簡単に立てることが可能なのでひとつ持っているととても便利
最近は少なくなってきたが、オイルフィラーと一体式のディップスティックも小排気量車ではまだまだ健在。ねじ込まず、刺しただけの場所でオイルを計測