エンジン前後長の短縮で車体すべてがコンパクトなナナハンらしさ満点!

1983年12月、ホンダはNewエンジンのCBX750Fをリリース。
ナナハンでは初代1969年のCB750FOUR、1978年のDOHCになったCB750K/Fを継ぐ、直列4気筒として5年ぶりの第3世代エンジンだった。
しかし当時のホンダはV4旋風で殴り込みをかけている真っ最中で、伝統の直4(並列4気筒、インライン4とも呼ぶ)はその勢いの前に目立たない存在。
実はすべてをV型4気筒に置き換える気はなく、性能や信頼性で安定的な存在の直4も併行して進化させる考えだったのだ。




この第3世代に課せられたテーマは、スリム軽量コンパクト。
まずクランクシャフトからの1次減速を、チェーンではなくクランクウェブから直接ギヤ駆動としたことで前後長を短縮、さらにACG(発電ジェネレーター)をクランクシャフト左からシリンダー背面で駆動、エンジン幅も思いきりナロウ化した。
またDOHCで16バルブと高度で精緻なメカニズムを、油圧タペットというエンジンオイルの油圧で押し続け、タペットのクリアランスを調整する必要のないメインテナンスフリー化したのも画期的。
さらに世界GPマシンのNR500で培ったエンジンブレーキの過剰な減速を抑えるバックトルクリミッター(後のスリッパークラッチに相当)を装備するという、最先端装備で構成されていた。
ダブルクレードルのフレームは、アンダーチューブを脱着式にせずオイルクーラーとを結ぶオイル・ラインとして活用、見た目にオイルのホースを取り回さないスッキリした外観となった。
足回りではリヤサスが車高調整可能で、伸び減衰力を遠隔操作ノブで3段階にアジャストできる。
フロントフォークには、ブレーキをかけるとキャリパーの反トルクで圧縮側減衰力によるノーズダイブを抑えるTRACの調整ダイヤルを新設と、スポーツ性をサポートする豪華仕様だ。


ボア×ストロークの設定は、67.0mm×53.0mmで747cc。バルブの挟み角を19°と立て燃焼室をフラット化した最新の高効率設計思想が反映されている。
そのパフォーマンスも、国内向けは自主規制値の77PS/9,500rpmと6.5kgm/7,500rpmに抑えていたが、輸出向けは91PSと実はかなりのポテンシャル。
そしてエンジン幅がスリムで前後長もコンパクトな車体は、1,465mmの短いホイールベースと共に直4のハンドリングを大幅に変えてしまい、750ccが既に大型の貫録バイクではなくコーナリングの醍醐味を楽しむクラスに捉えはじめた海外で大好評となった。


ただ耐久レースをイメージさせようとした四角いヘッドライト2灯が、国内ではそれまでの丸い2眼を見慣れた目には違和感を与えてしまい、いまひとつ注目度が低いままに過ぎていった。
その後、タウンユースやツーリングを意識したシャフトドライブのホライゾンや、フルカウルでナナハンながらフラッグシップを感じさせるCBX750Fボルドールを加えてバリエーションも増えたが、目立って注目を集める時期もなかった。
海外マーケットでは乗りやすさで人気だっただけにのに対し、国内ではあまり知られていないマイノリティな存在となってしまった。


そのため台数も少なく、レストアするとかなりのパンチ力と前後を17インチ化すればハンドリングも最新バイクと遜色ないことから、中古車市場では希少なだけでなく乗って醍醐味を楽しめるカスタムの素材として、隠れた逸材という評価で人気の高い存在となっている。



