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このバイクに注目
HONDA
GB400/500
1985~1989model

GB400/500のマニアックな構成と硬派な走りは意外なほどスパルタンだった!【このバイクに注目】

Photos:
HONDA,iStock,Shutterstock

ホンダにとって英国はスポーツバイクの奥深さを学んだ特別なカルチャーのの土地柄!

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1985年、ホンダはGB400/500と名づけられたビッグシングル(単気筒)スポーツをリリース。
その風貌はトラディショナルを絵に描いたようで、車名末尾に加えられたT.T.(Tourist Trophy)が示す通り、英国伝統のマン島T.T.レースに因んで名付けられていた。
歴史を辿るまでもなく、ホンダは世界GPチャレンジをマン島T.T.からはじめていて、英国カルチャーに浸りながらモーターサイクル・レースの何たるかを学んだのは動かしようのない事実。

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そんな背景から4気筒で世界を制したホンダが、ビッグシングルでロードスポーツを考えたとき、英国先達メーカーがかつて展開していたビッグシングルを彷彿とさせるトラディショナルな路線をイメージしたのは当然だろう。
英国を深く知るホンダだけに、当初は日本でほぼ知られていないXBR500として開発がスタート、ヨーロッパではシングルだろうとビッグバイクと同じ高速でクルージングからワインディングまで駆け抜ける、そんな使われ方に耐える強靭なフレームが与えられ、クラシカルな雰囲気にまでしないコンセプトだった。

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カフェに集うバイカーのスパルタンさを好む、そんな流儀を意識していたところが、日本国内で流行っていたクラシカルなヤマハSRとそもそもが違う。
カジュアルな雰囲気を優先するのではなく、硬派な本モノ感を漂わせる英国流カフェレーサー・カルチャーの反映だった。
ただ日本向けとしたGB400/500では、スポークホイールをはじめ燃料タンクからシートやサイドカバーにシートのテール部分にまで、GB250クラブマンで好評だったホンダ流のトラディショナルにまとめられたのだ。

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エンジンはオフロード系XRシリーズをベースとした、燃焼室へ4バルブを放射状に配置したRFVC(ラジアルバルブ)で、オフ系エンジンだけにクランクケース下にオイルパンを持たないドライサンプ方式。
オイルタンクをクランクケース後方にフレームとの間に収め、エンジンとは2本のメッシュに包んだジョイントホースをシリンダー右横に見せる、いかにもマナックな構成をみせていた。

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92mm×75mmの498ccは、40ps/7,000rpmと4.2kgm/5,500rpmで、中速域からの瞬発的なダッシュが力強い、スロットルを常に開けて積極的なトラクションを活かした走りのライダーを意識したスポーツ性だった。
それは売れ筋が落ち着いた1990年になって、英国をはじめヨーロッパでもGB500をベースとしたルックスへと改修され、マナックな走りをアピールしていた。

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短くフラットなハンドルは、いうまでもなくビギナー向けではなくジュラルミン鍛造とマニアック仕様。
後退したステップをはじめ、カフェレーサーの硬派な仕様と仕上げにこだわったスタイルに、スパルタン好きやカフェレーサー好きは酔い痴れた。
そして走りの強いスポーツ性は、英国やヨーロッパでは好評だったが、日本ではSR400/500が人気の環境では親しみやすさを感じさせず、注目度を失っていったのだ。

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マン島T.T.をルーツに位置づけ、単座などという戦闘機のキャッチコピーが舞う硬派なGB400/500。
発売からバリエーションとしてMkIIのロケットカウルとシングルシート仕様(タンデムステップがない!)まで用意するなど、ホンダが込めたパッションは、カジュアルなSRを好む層にはあまりにスパルタン、そして狙ったライダーの層も絶対数として少なかった。
しかしビッグシングルは趣味性としてのこだわりこそが魅力と信じるホンダがGB400/500に貫いた硬派路線に、むしろいまの曖昧なバイクが多い時代にこそ、個性として濃い趣味性をアピールするチャンスと思えてならない。