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このバイクに注目
HONDA
XELVIS
1991model

XELVIS(ゼルビス)はVTイメージになかったツーリングを意識した多様でタフさもアップ!【このバイクに注目】

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VT250の傑作Vツインは熟成を重ねバイク便でも使われる実用性を備えた!

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1982年に打倒2ストロークを掲げて殴り込みをかけた、4ストDOHC8バルブの高回転高出力Vツインを搭載したVT250Fはいわば「戦闘機」。
このホンダの何が何でも勝ってやるという戦闘モードに、ホンダファンはもちろん多くのバイクファンがその刺激の強さに痺れたのは間違いない。
そのVT250Fも翌年カウルを纏ったVT250F INTEGRAをリリース、続いて1984年にハーフカウルに角断面フレームの2代目となり、半年後にネイキッドのVT250Zが登場、そして1986年にエンジン部分を除きカウルでカバーされたソフトイメージの3代目となり、このVT250系は発売後34カ月の短期間で250ccの累計販売台数10万台を初めて超える大ヒットを記録した。
しかしそれは同時に250ccユーザーの多様化するニーズへどう対応していくか、悩ましい舵取りの歴史でもあった。
それを象徴したのが1988年のアルミ・ツインスパーフレームのSPADA(スパーダ)で、カジュアルさを強調したシティ・デザインが好印象でも人気はいまひとつ。
そこで原点を見直そうということになり、1991年にこのXELVIS(ゼルビス)が登場したのだ。

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コンセプトはイメージ先行で可能性を狭めないよう「スポーツライディングの楽しさ」「ツーリングの解放感」「街中のフットワーク」をバランスよく味わえるよう基本性能をチューン。
水冷4ストロークDOHC4バルブの90°Vツインは、ボアxストロークが60.0x44.0mmのショートストローク、排気量249ccで最高出力36PS/11,500rpmと最大トルク2.6kgm/8,500rpmと、SPADAから回転域を下げ扱いやすく刺激の少ない仕様としていた。
吸気ポートは内径を小さくして形状も変更、吸気バルブをφ24mmと1mm小径化、排気バルブも0.5mm小径のφ20.5mmとなりリフト荷重も低減して、キャブレターも楕円形状のやや小径化と、すべてに尖った面を感じさせないキャラクターへ変身させたのだ。

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フレームもタンデム対応を前提に剛性を与える位置を吟味、メインチューブを角断面スチールの45×30mmとガッチリした側と、ダウンチューブはφ31.8mmのしなやかさとを組み合わせている。
因みにツーリングへの対応として、フロンとカウル右側に高速券や小銭に煙草が入るポケットを装備、タンク後方のシート下にレインウエア収納スペースと、これまでのVT250では考えられてこなかった実用性への気配りもされている。
さらに荷物を積むときのコードフックも10箇所と自由度を高め、オプションとして様々ラゲージバッグも用意する取り組みの違いを見せつけていた。

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VT250のエンジンは、その途方もない生産量で耐久性は立証済みで、そこにこうした実用性が加わるとなれば、これまで250ccでは頼りないとされていた「バイク便」 にもXELVISが多く採用されはじめたのだ。
広告展開は、実用性を謳うとスポーティさや遊びゴコロをイメージ的に損なうと思ったようで、デビュー当初は気軽でポップなイメージをアピールしていたが、時間経過と共に徐々に大人を意識したイメージへと変わりはじめていた。

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しかしこうした実用性を重視した逞しさは、スポーツ性と真逆の地味な存在となりやすく、ZELVISは大ヒットまでにはならず、1997年にベーシックなネイキッドの「VTR」へと世代交替。
とはいえこのVTRは何と2016年モデルまで、マイナーチェンジを加えながら生産され続けるという、バイク史上でも稀にみる傑作Vツインだった。