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このバイクに注目
YAMAHA
FZ1-N FZ1-S
2006~2014model

ヤマハがR1ネイキッドではないFZ1で新系列を模索!【このバイクに注目】

スーパーバイクをフツーのスポーツ化したFZS1000で成功、
続くFZ6の先進シャシー開発で辿り着いたFZ1!

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ヤマハYZF-R1のようなスーパーバイクが、300km/hとパフォーマンスがリスキーな領域になるにつれ、そこまで過剰な性能ではないツーリングで楽しめるスポーツバイクの製品化が検討され、ヤマハでは「凄そうに見えないのに凄い、フツーなのに速い!」こんなキーワードから開発がスタートした。
実は極端に尖ったバイクは理解されやすいが、日常の使い勝手のよい身近なバイクは特徴が少ないイメージで注目されにくく、なかなかヒットしないため慎重にならざるを得ない。
そこでヨーロッパで実用域が重視される600ccミドルクラスの吟味から、スーパーバイクR1のエンジンをベースにキャラクターを一変させたFZS1000が2001年に誕生。
これが予想外にヒットしたことから、さらにミドルクラスで専用の最新鋳造技術を駆使したFZ6を2003年にリリース、これもR6がベースと思わせない独自性で売れ筋バイクへと邁進したのだ。

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そんな経緯から、リッタークラスでもFZS1000の後継としてFZ1が開発されることになった。
エンジンは2005年型YZF-R1に搭載の水冷ストロークエンジンをベースに、扱いやすさと醍醐味ある感覚性能をテーマに開発した新パワーユニットを搭載。 
77.0mm×53.6mmのボア×ストロークを共有しながら、カムプロファイルや圧縮比の変更から、何とクランク慣性マス40%アップと思いきった変更を行い、150PS/11,000rpmを発揮しながらトラクションに優位なトルク特性で、コーナリングでのポテンシャルはシチュエーションによってはR1より高いレベルを達成している。

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車体はFZ6で成功した新設計金型鋳造オールアルミ製フレームを採用。エンジンを車体剛性メンバーとして活用、エンジン後方4箇所とシリンダヘッド背面左右2箇所計6箇所のリジッド懸架とするなど、強度に対して操りやすい捩り剛性へとバランスを重視、ヤマハらしいハンドリングに仕上げていた。

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その他、エンジンでは吸気のインジェクターで電動のサブスロットルバルブを作動させ、低中速域での広範囲なスロットルレスポンスや、排気脈動を利用するデバイスのEXUPをコンパクトにエキパイ4本集合部に装備、サイレンサーも容量を稼ぎエンジン下のチャンバーレスを可能にするなど、新しいスタイルの構成で開発が進められている。
そしてご覧のように、フレームはR1とは似て非なる完全オリジナルなテクノロジーで構築された新しい次元の仕様が完成したのだ。

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果たしてFZ1は、ネイキッドのFZ1-Nから徐々にマーケットへ浸透してゆき、カウル付きのFZ1-Sもツーリング好きなユーザーを中心にシェア率を高めていく好調な滑り出しだった。

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国内向けには規制でパワーダウンしてしまうことから逆輸入車として導入、ジワジワと人気を得ていったのはご存じの通り。
そして続くFZ8へと、新世代ネイキッドの基盤づくりが着々と進められ、FZ1系は2014年まで生産されるロングランモデルとなった。