勝負モデルXJR400にグレードアップを加え背水の陣
空冷400ネイキッドとして新たに1993年にリリースされたXJR400。
ネイキッドが再び盛り上がりをみせる兆しへ、堅実な仕様でスタンダードなスポーツバイクを標榜。
ヤマハらしくハンドリングなどのこだわりもあり瞬く間に人気機種となった。
しかしライバルたちが新型投入で巻き返しをはかる勢いに対し、ヤマハはブレンボ製ブレーキ・キャリパーにオーリンズ製リヤサスペンションを奢るなど、車名にRを加えたXJR400Rを1995年にリリースした。
さらに1996年にはネイキッドバイクによるレース・イメージを重ね、ビキニカウル装着のXJR400RIIもリリース、よりスポーティさを強調することとなった。
カラーリングもブラック、シルバー、ホワイト系にブルーも加え、カジュアルさをアピールする陣容として育まれていった。
ただライバルたちもカワサキのゼファーχをはじめ、攻勢を強めてきた状況に対し、ヤマハがとった戦略は大型バイクの風貌とエレガントな感性への路線変更だった。
XJR1300イメージ追随でカジュアルからエレガントへデザイン変更
1998年、XJR400Rは燃料タンクをよりグラマラスなフォルム(容量も2リットル増えた20Lに)として、サイドカバーからテールカウルまでもネイキッドのフラッグシップXJR1300をイメージさせるものとしたのだ。
カラーリングもそれまでのソリッド系からメタリックやキャンディートーン、さらにはグラフィックでヤマハのレースイメージを盛り込むなど、他メーカーとの差別化をより押し進めていく路線をひた走った。
エンジンもブラックアウトされたバージョンと、従来のアルミ地のふた通りとなったが、後に黒に統一されている。
さらにヤマハのレーシングイメージでもあるブルー系にイエロー系もラインナップされ、燃料タンクのエンブレムに音叉マークを復活させるなど、トラディショナルさも加味したいかにもヤマハ・ファン向けな仕様が用意された。
しかし2007年モデルを最後に、空冷400ネイキッドは終焉を告げた。フューエルインジェクション化など排気ガス規制への手立ては残されていたが、空冷の冷却フィンが振動で鳴ってしまう面など、空冷デザインを守れない事情も継続を諦めた要因でもあった。