A.スリムさや振動などバイク向きだからです
Vツインといえばハーレーが有名で、ドゥカティも90°でLツインとも呼ばれてますがこれもVツインのひとつ。海外メーカーは個性を重んじるのでそのカタチからVエンジンを選ぶのでしょうか?というご質問。
バイクのエンジンはまず単気筒からはじまりました。これがより大きなパワーとスピードを求めて大型化していくと、熱量や機械抵抗をクリアするため2気筒化されはじめ、’60年代まで主流でした。
この2気筒化で英国勢は単気筒を横に連結した並列2気筒、シリンダーが垂直にそびえた形式が多く、バーチカルツインと呼ばれる英国を象徴するカタチとして定着していました。
対してアメリカ勢は、単気筒のクランクピンに、もうひとつピストンとコネクティングロッドのセットを加えた合理的なVツインで大排気量化をスタートさせたのです。
何が合理的かといえば、Vツインのイラストをご覧ください(ドゥカティ/パニガーレ1199R)。エンジンにはピストンの上下に往復する運動を回転運動へ変換するクランクがあって、燃焼爆発で押し下げられたピストンを、圧縮側へ上げるのに勢いをつける、ご覧のような錘(オモリ)の役割をするクランクウエブという膨らみがあるのですが、Vツインはこの単気筒のクランクに2気筒分のピストンとコネクティングロッドを共有することができるのです。
このためクランクの幅はコネクティングロッド1本分だけ広くなる、ほぼ単気筒と変わらないスリムなエンジンとなります。
エンジン幅が広いか狭いかは、想像できると思いますが左右へ車体をリーンさせるバイクの動きに大きく影響します。広ければ安定、狭ければ軽快になります。
またVツインはピストンの往復による振動を打ち消しやすく、スムーズな回転が得られるメリットや、爆発間隔が均等でないため後輪が路面に食いつきやすい特性など、ライダーが操る楽しさ醍醐味が大きいというメリットもあります。
ご存じのようにVツインはアメリカだけでなく、イタリアのドゥカティのようなスーパースポーツを得意とするメーカーでも採用され、趣味性の高い乗り味として多くのファンに愛されてきました。
- Words:
- 根本 健