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Q.ツーリングビギナーの遅くて迷惑?の憂鬱【教えてネモケン103】

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ツーリングビギナーで不慣れからどうしても遅れてしまうのを少しでも改善するコツはありませんか?

A.同じペースで走ろうとすると、実は後ろのほうが難しかったりします。誤解から疲れたり無理してリスクに陥らない知識も身につけておきましょう。

前車との車間距離は同じペースほど変わるもの

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まだ慣れていないビギナーにとって、経験者からツーリングに誘われるのは、連れていってもらえる安心感とペースが遅くてついていけない迷惑の憂鬱とで、複雑な気持ちになりがちです。
高速道路や平坦な国道を、一定の車間を保って走れていても、山間のワインディングに入るとカーブの立ち上がりでみるみる離されて焦ったりします。
そうかと思うとカーブの入り口で、前車の減速に気づくのが遅れ車間距離が縮まって慌てて急ブレーキ!なんて怖い目にも遭います。
でもこの車間距離については、あなたが不慣れだからという面だけではありません。たとえばレースで2台が走っていると、直線で200m/hは秒速55mで、車間が1秒ちょうど空いていたら55mがそのまま車間距離になります。それが小さなコーナーで100km/hになるとその車間は27mまで縮まります。もしも2台が全く同じラップタイムで走っていたら、ストレートやコーナーにヘアピンなど、場所によって車間距離が違うことになります。
それは当然で、減速を開始する場所で先行している一台がブレーキングをすれば、まだ減速区間でない後続との距離は一気に縮まります。反対にコーナー立ち上がりで、先行車が脱出加速をはじめた時点で後続車はまだ加速できない位置となり、みるみる離されてしまいます。
これをレースキャリアが浅いライダーは、ブレーキングで頑張って追いつけるけれど、立ち上がりで加速を早くからはじめられる足回りとエンジンパワーで離される、と錯覚してコーナー立ち上がりでムリをして自らを転倒のリスクに晒すことにもなりかねません。
もちろん、ツーリングはレースではありません。でも同じペースで走っていたとしても、コーナー手前でブレーキを強くかけていないのに、後続車は車間がいきなり詰まったように錯覚して慌てて強くブレーキをかける、という状況に陥りがちです。コーナーの立ち上がりも同様で、加速シーンはどれも置いてきぼりにされがち……となるワケです。
もちろん前車が減速をはじめたのを見落とすのも困りますが、後続を慌てさせる急ブレーキは先行車が避けているもので、車間距離が変わることについて気にし過ぎるのはよくありません。

前車のその先を見る余裕を利用すると……

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つまり車間距離は同じペースでもしょっちゅう変わるという前提でいて、一喜一憂しないことがまず大切ということです。
それより、前を経験者が走ってくれているメリットをうまく利用するよう考えてみましょう。
先ず前を走っているライダーは、後ろがビギナーであることを意識してペースも相応に落としているでしょうから、先に見えるカーブで自分が曲がりきれないスピードにはならないはずです。それでももしやという心配をするのは、用心するに越したことはないとはいうものの、そんなに神経を尖らせていると短時間で気疲れして、却って危ない目に追い込みかねないほうを考えましょう。
それより、前車がカーブへ入っていったその様子に注目です。
山間のワインディングは、カーブの内側が山肌で隠れるいわゆるブラインドコーナーがほとんど。カーブへ入ったら、その先が入り口で見えていたときよりもっときつかったりする場合もあります。
ただベテランは、カーブの中へ入るほどイラストにあるように、先の曲がり具合がわかるのを知っています。なので、曲がりはじめてからの軽いブレーキングや、さらにリーンをするなど状況対応しているのが見えたら、慌てずカーブのその先を確認しながら対応する心構えをしましょう。
慣れてくると、先を読む練習をしながら前車がそのお手本を見せてくれる、学んだり慣れたりするのに好都合なまたとない状況を利用できるようになります。
前をペースの安定している経験者が走ってくれるほど、余計な神経を遣わずバイクに乗る時間を楽しめるものです。経験者は不慣れなライダーが一緒の日は、どのみちペースはゆっくりになるのはわかっていて、それを申し訳ないと思う必要はないでしょう。感謝はしても、あまり申し訳ないを繰り返し言われても嬉しくはないと思います。

ついていこうとエンジン回転を中速以上にキープするのはNG

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また前車にすぐ追いつけるようにと、エンジン回転を中速域以上にキープして、ハーフスロットルでコーナーの中も走り続けるライダーが少なくないのも気になるひとつです。
カーブの出口で少し離されて、直線になったら一気に追いつこうとする気持ちもわからなくはないですが、コーナーの中で路面の不整などで車体が揺れてその影響でスロットル開度が変わり、突然の急加速がリスキーなのはいうまでもありません。
それより出口に近づいたら、前車との距離ではなくトラクションを利用して、路面を後輪がしっかり掴んで蹴りながら旋回を安定させる状況へ持ち込むパターンを身につけるほうが大事です。
低い回転域でスロットル開度が大きめの、路面に後輪がグイッと踏ん張る感じとオーバーラップした、ジワッと大きめに捻ってライダーが後輪グリップをつくる時間を長くとる工夫をしていくことが、スポーツバイクを操る上で最も大切で醍醐味が味わえる楽しみに繋がることを覚えておきましょう。

Words:根本 健 Photos:藤原 らんか