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Q.バイク復活したものの感覚が戻ってきません【教えてネモケン109】

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周囲の同世代たちに誘われて、バイク復活を果たしました。昔はステップを擦るくらい走れていたのですが、最新バイクだと感覚が全く戻ってきません。

A.力まずに僅かな体幹移動での操作に慣れましょう!

低いエンジン回転域を多用する感覚の違い

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青春期にバイクブームで、ワインディングを楽しんだ経歴をお持ちの方は、最新のビッグバイクだったら鋭く軽快で、コーナリングの醍醐味を存分に味わえる……と大きな期待をなさっていたと思います。
でも実際に走りだすと、すべてが異次元。
軽快だと思ったら意外やバイクが意思を持ってるかのように走っていったり、リーンすると浅いバンク角から曲がりはじめてスパッときまらないとか、以前のキャリアがまるで功を奏さない気持ちに陥ってしまいがちです。
最新のバイクが感じさせる最大の違いは、おそらくエンジンの駆動力が車体の進行方向を支配するそのトラクション効率だと思います。アイドリングを少し上回った程度の回転域でも、スロットルを開けると車体の進行方向を安定させるチカラが働きます。
以前なら明確に旋回状態のときに、エンジンもトルクパワーが強い回転域との組み合わせで効果を実感できましたよネ。しかし、いまはこうした狭い範囲で実感できるモノではなくなっているのです。

イン側の低めを意識する

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そもそも車体そのものが、微速からでも走りだすと安定しているという時点で、以前とは全く異なるフィーリングを与えます。
昔はハンドルをちょっとホールドしたりして、ある程度スピードが出てきてからバイクまかせにしていたのとは大違い。
走りだした途端に意識せずとも、ついハンドルを軽くホールドしがちで、このため妙にバイクが思惑と違う方向、たとえば勝手に斜めに走っていく錯覚に陥ったりします。
最新のバイクは、半クラッチで発進したその瞬間から、シートにたっぷりと体重をあずけ、ステップやハンドルにはホールドするレベルでも入力しないこと。そしてリーンするほど車体を傾けずに曲がる左折レベルでも、イン側の脇腹に体重をのせる感じで、もちろん腰などズラさずに重心移動をしたほうが、より明確に思い通りの進路変更ができます。
さらにコーナリングとなると、以前のブレーキングのリリースとハンドルのきっかけ入力でスパッとリーンというワケにはいきません。上半身の両肩のイン側のほうへ、脇腹と一緒に少し低めの方向へ重心移動する感じを与えないと、ステアリングヘッドまわりが傾いていきません。言葉を変えると上半身でイン側へ寄りかかる感じにしながら、身体をイン側低めへもっていく……そんな感じだとタイミングを逃すことなく曲がりはじめることができます。

イージーライドに呑み込まれないように

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何だかとてもややこしい……そう思われてしまいそうですが、最新のバイクがそれだけ安定性が高く、バランスよく走るようになった証しでもあるのです。慣れてくれば、この安心感の大きい乗りやすさの恩恵に浸れるはずです。
エンジンも呆気なく強大なトルクを刺激もなく引きだせるので、スピード感に疎くなりがちで注意が必要です。
深くバンクしても以前のような限界に近づいた緊張感が伝わってこないので、まだ大丈夫と過信しがちなのも要注意です。バイク復活したばかりのライダーが、真新しいビッグバイクで、何でもないカーブ入り口に突っ込んでしまう事故が多いという事実をぜひお忘れなく。
扱いやすく乗りやすい、そしてパワーをかけすぎてもスリップしないトラクションコントロールや選択できるライディングモード、急ブレーキでもロックしないABSなどのフェイルセイフ装備も含め、より多くの層にハイパーバイクの魅力を楽しませてくれる最新バイクですが、だからといってリスクが減っているワケではありません。
相応のキャリアをお持ちであれば、慣れるまでというか、ご自分の身体が納得されるまでは、違和感あったら警戒しつつ走り込むというプロセスを大切にしてください。
年齢を加えてからのバイクのほうが醍醐味も満足感も大きく、長く乗り続けることこそが、その楽しみの可能性をさらに引きだすことになります。先を急がずジックリとコツを掴んでいきましょう。

Photos:
BMW