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カスタム&パーツ
BREMBO
GP4-MS CALIPER

bremboブレーキの意外な絶対頂点性能の理由!?【カスタム&パーツ】

Photos:
BRMBO,Lidara

丘の向こう側に待ってるんで、
そこで止まってください
一般ライダーにスクーターで走ってもらう、
そのデータ解析があの効き味の原点!

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MotoGPマシンのすべて、そして世界中のどのスーパースポーツでもハイエンドモデルならブレーキは当然のようにブレンボ製が使われている。
まさに他にライバルなし。それは近年になるほど例外のない状況となっている。
なぜそこまで圧倒的な状態なのか?

30年以上前、既にレース界はもとよりスーパーバイクのほとんどがブレンボ製ブレーキを採用していた頃、R&Dの担当スタッフに取材することができた。
知りたかったのは、あのブレンボでしか味わえない入力したときの自然な立ち上がり方、そしてもちろん度肝を抜かれる強烈なストッピングパワー、そしてそしてリリースしたときにパッと放れずスウッと効きが引いていく、完璧な作動の感性はどうやって開発しているのか?ということだった。

「300km/h、いや400km/hだろうが1~2秒で回転しているホイールを止めることは、どこのブレーキ・メーカーでも可能です」
「でも最も重要なのは、安心してかけられる性能と信頼できる特性。そのため極くフツーのライダー、それこそ日常の生活道具で乗っているおじさんおばさんに”丘の向こうにスタッフが待ってるんで、そこで止まってください”とだけ伝えてスクーターで走ってもらいます。人によっては人影が見えたトコロから徐々に減速して待ってる箇所で停止する場合や、待ってる人の前でいつも止まっている減速でピタッと停車したり……何を感じてどう操作するかは千差万別、その入力のしかたや、リリースに至るまで、どう思ったかの感想と共にデータ化します。これがF1ドライバーやMotoGPライダーからのフィードバックより重要なんです。人間がどう感じてどう操作するのか、これをあらゆるシーンでベースにしています」
だから、あそこまでプロフェッショナルからビギナーまで、ブレンボのブレーキに絶大な信頼感を覚えるのか……このまさかのフィロソフィを聞いたときの納得感といったらなかった。

そのbremboからEICMAで新製品が発表

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2022年11月のEICMA(ミラノショー)で、GP4 MSブレーキキャリパーの改良型が公開された。
MotoGPでプロライダーが用いるブレンボ製キャリパーと同様、改良版GP4-MSもアルミビレットとモノブロック設計。鋳造によるブレーキ部品と比較し、アルミビレットを機械切削加工することで素材の特性を生かすことができ、過酷な走行環境でも高い安定性を発揮。耐久性を損なうことなくブレーキシステム全体の性能を高めることができたとのこと。
とくに欧州の大型バイクに用いられる標準的なラジアルフォークと互換性のある従来のGP4-MSキャリパー(取付ピッチ100mm)の人気から、今回の改良版では日本のスーパースポーツバイク向けに取付ピッチ108mmがラインナップに加わった。

フロント部の補強リブは4本のアルミ製ピストンを取り囲み、システム剛性を最大限に高めることによって、走行中のバイクの安定感と信頼を体感できる。
ブレンボ GP4シリーズの特長のひとつであるニッケルコーティングによる表面処理により、高温環境でも本来の強さと性能を発揮する。

特にボディの外側に取付られたベンチレーション用のフィンは、ブレーキシステムの熱交換を促して冷却効率を高める。走行による空気循環はもちろん、ブレーキディスクとホイールの回転によって引き起こされる空気の動きも重要な働きをしている。
この GP4-MS キャリパー最新モデルは、ニッケル表面仕上げによって外観の美しさにも磨きをかけ、明るくなめらかな印象を与えると同時に耐久性、耐摩耗性、走行時の最適性能を確保しているという。

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新型19RCS CORSA RR-Race Replicaマスターシリンダーは、MotoGPやSBKに用いられるマスターシリンダーと同様、ビレットより機械切削され、軽量化を図りつつレース仕様の設計をできる限り再現している。チタングレーの硬質アルマイトのボディの表面は優れた耐摩耗性を発揮し、可動部品同士の摩擦を大幅に軽減。従来のモデルと比較してより濃く深みのある色合いをしていて、Moto2、Moto3クラスモデルの外観にさらに近づけたという。

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またブレンボは GREENANCEパッドを発表。材料に銅とニッケルを使わず、セラミックコンパウンドについてはアンチモンとアスベストを含まない製品だ。
このパッドはブレーキ温度の上昇時にも安定した性能を発揮するように作られており、優れた耐熱性を発揮。ダイナミック動力計効率試験では、高温・高速環境下で従来品より安定的な摩擦係数を示し、市販の比較対象製品と比べて平均で10%高い摩擦係数を記録たという。ブレンボ GREENANCEパッドの独自ベンチテストでは、摩耗率が市販の同等製品を15%下回る結果を示している。
また生産工程におけるメタンガスの使用を排除したことによって、CO2換算で年間約176トンの温室効果ガスの排出を削減できる効果も生んでいるのだ。