MotoGPライダーは超人である。
スポーツ界の壮大な偉業を成し遂げたときよく耳にする言葉だ。
パワフルなバイクを極限の状態で操作するライダーは、自身の身体だけでなく、スーツやグローブなどすべてのウエアに極度のストレスをかけている。
しかし、彼らも生身の人間であり、普通の人と同じように安全に考慮する必要がある。
バイクの性能を最大限に引き出すためには、最適なコンディションで、安全かつ自由に走行する準備が必要不可欠だ。
ライダーに安全を提供する為に、ダイネーゼとAGVはすべてのレーシングタイプのトップモデルを極度のストレスがかかる環境でテストを行い、設計している。
そして、ライダー達が伝説的な存在になり得る以上、彼らの装備も伝説的なものであり、一般人には手の届かないものであることは言うまでもないだろう。
しかし、実際はそうではない。
最先端のヘルメット
PISTA GP RRは、AGVのプロライダーが使用しているヘルメット。
2012年に初めてのモデルが発売され、頭部のプロテクションの概念を覆したモデルだ。
このヘルメットは、衝撃からの保護、重量、空気力学的浸透性、広い視野、通気性において新たな基準を確立した。
AGVの研究開発部門が採用した厳格な設計基準は、同様に厳しいFIMのホモロゲーションテストもクリアしている。
あらゆる機能が揃っているヘルメット市場の中でも数少ないFIM公認のヘルメットであり、誰もが手に入れることができるのだ。
D-airスーツ
2007年、ダイネーゼは世界選手権レースにD-air(電子式エアバッグシステム)を初めて導入した。
そのわずか11年後には、このシステムが全クラスのライダーに義務化されることになる。
義務化される前にも、ダイネーゼのライダー達は、このシステムをサーキットで使用することに喜びを感じていたのだ。
Moto2世界チャンピオンのポル・エスパルガロの言葉は、私たちの心の中に残っている。
「D-airはヘルメットのようなもの。一度慣れてしまえば、これなしではいられない」
プロライダーが着用するスーツは、最先端のテクノロジーを1つのスーツに豊富に詰め込んで設計され、究極のプロテクションとパフォーマンスを実現したMugello RRだ。
スーツにはD-airデバイスが搭載され、膝、肘、肩には従来のリジッドプロテクターが組み込まれており、プロテクターと同じ場所に金属プレートが装備され、滑りを促進し、転倒時の回転を防止するように設計されているのだ。
金属プレートについて詳しくはコチラ「''ダイネーゼのウエアのプレートがプラスチックではなくチタンやアルミの理由とは……?"」
MotoGPグローブ
Full Metal 6は、最先端の技術を用いて設計されたグローブだ。
ゴートスキン(山羊革)、カーボンファイバー、アラミド繊維、チタンなどの洗練された素材を使用。
ライディングポジションでの手首の自然なカーブに沿うように、曲がった状態で設計されている。
このグローブは立体裁断を採用しており、手を曲げる際に必要以上に関節に負担がかからないようになっている。
また、背面とナックルはカーボンとチタンのプレートを重ね合わせた構造で、衝撃をより吸収し、アスファルトとの接触時の滑りを促進してくれる。
その他のカーボンプロテクションは親指と指骨に配置され、小指にはねじれを防ぐDCPシステムを採用。
グローブ全体に伸縮性のあるインサートが組み込まれており、優れた運動性を確保した。
足の保護
ダイネーゼは1990年代末から2000年代初頭にかけて、スーツの内側に着用する新しい画期的なブーツを設計した。
このブーツは、衝撃からのプロテクション性能を向上させただけではなく、骨折やねじれを防ぐことができるものだ。
ハイエンドモデルのAxial D1ブーツには、カーボンファイバーを使用し、人間工学に基づいて設計されたAxial Distortion Control System(ねじれ防止のためのシステム)が組み込まれており、足首の動きを補助してくれる。
ダイネーゼのブーツについて詳しくはコチラ「''なぜダイネーゼは、ブーツをスーツの中に入れるのか?''」
Axial Distortion Control Systemは、アンクルブレースのように作用するため、横方向のねじれや不要な関節の動きを防ぐことができる。
下部と脛骨保護部には、優れた耐久性と通気性を持つ、カーボンファイバーとアラミドファイバーを使用し、優れたプロテクション機能を実現するとともに、スーツの内側に着用することができる非常にスリムで軽量なブーツに仕上げられているのだ。
プロライダーが最高のパフォーマンスを発揮することができるのは、頭からつま先まで最大限のプロテクションを装備しているからだ。
しかし、それは彼らだけのものではない。サーキットでのテストで培われ、MotoGPの世界で使用されているモデルと同じ技術の恩恵をすべてのファンが受けることができる。
ヘルメットからブーツに至るまで、最先端のプロテクション技術を忠実に再現しているのだ。
ダイネーゼ
1972年にイタリアで設立された、モーターサイクルウエアブランド。数多くの有名ライダーにレーシングスーツを供給する。世界で初めて、バイク用のプロテクターを開発したことでも有名。デザイン性と安全性は、"From Head To Toe(頭からつま先まで)"のコンセプトでプロデュースし続けている。
またアクティブにスポーツを楽しむユーザーに向け、スキーコレクション、MTBマウンテンバイクコレクション、乗馬コレクションも展開する。