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レバーの先端、なぜ丸い?【ライドナレッジ003】

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伊藤康司

国内外を問わず、ほとんどの現行バイクのブレーキ/クラッチレバーの先端は“球状”になっている。
デザイン性で考えたら、もっとシュッとした形状の方が、スピード感があって良いのに……とも思える。
だからその理由を問われたら、なんとなく“丸い方が安全だからかな”と感じるライダーも多いだろうが、実際のところはどうなのだろう? 気にして見ると、球のサイズも国産外車を問わずほとんど同じ……。
なぜだろう?

答えは「FIM(国際モーターサイクリズム連盟:二輪モータースポーツを統括する国際競技連盟)のレギュレーションで決まっているから」だ。

FIMではロードレースに限らず、モトクロスやトライアルでも車両の技術規則で「すべてのレバー(クラッチ、ブレーキなど)は、原則として先端がボール状(このボールの直径は最低16mmとする)となっていなくてはならない。このボールは平らでもよいが、どのような場合においても先端は丸くなっていなくてはならない(平らな部分の厚みは最低 14mmとする)」と定めている(昔は最低19mmだった)。

日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)はFIMに加盟しているため、国内でMFJが主催する二輪レースでも、同様に“レバーの球”が必要だ。

車両規則の理由は、皆さんが想像する通り“安全”のため。そしてそれが、いつしか市販車にも広がったワケだが、これも言うなれば「レースからのフィードバック」だ。
ちなみに国産バイクだと、1960~1970年頃の実用車だと“球ナシ”レバーも混在するが、それ以降は原付スクーターも含めてすべて球の付いたレバーになっている。また旧い英国車などは、昔のレギュレーション(19mm)に準じているのか、レバーの球が現行車より大きいモデルも多い。

ところでこの球、立ちゴケすると“ポロッ”と折れてしまうことも多い。というか、最近のレバーは敢えて先端だけ折れやすい作りになっている(根元から折れると操作できないし、マスターシリンダーが破損する危険もあるため)。
それでも操作に支障がないと“また立ちゴケするかもしれないし”と、交換しない方もいるようだが、コレは安全の観点からオススメできない。そして先端が折れたレバーだと、車検に通らない可能性が高い。
これは保安基準の「鋭い突起物は危険である」という解釈に触れるからだ。

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立ちゴケしてこんな風になってしまった方もいるはず。先端が尖っていると危険なので、できたら速やかに交換したい。先端の形状によっては車検にも通らないので注意!