“カワサキ=ライムグリーン”。市販車でもレースでももはやバイクファンなら常識(?)といえるほどイメージが強いが、そもそもなんでライムグリーンなのだろう?
初めてのライムグリーンは1969年
爽やかな印象のグリーンだが、欧米でライムグリーンは“不吉”“不気味”な色とされる部分もあり、必ずしも良いイメージではない。欧米の映画やドラマでグリーンのモンスターや悪魔を見たことがあるはずだ。
カワサキが初めてライムグリーンを纏ったのは、1969年にアメリカで開催されたデイトナ200マイルレースに参戦した、ファクトリーマシンのA7RS(2ストローク2気筒338cc)とA1RAS(2ストローク2気筒247cc)。前年の1968年からライムグリーンの塗料を開発して用意しており、1969年デイトナ200マイルではライダーのレザースーツからメカニックの布ツナギまでがライムグリーンに統一された。
当時、アメリカは世界最大の二輪市場であり、デイトナ200マイルレースでの活躍が販売に直結。そこでカワサキは、バイクファンに強くアピールするために、あえて強烈なイメージを持つライムグリーンを選択したのである。すでに日本のライバルメーカーが、目立つ原色をイメージカラーにしていた、という理由もあったという。
この後もH1RやH2R(市販車の500SSマッハⅢや、750SSベースのレーシングマシン)が活躍し、カワサキ=ライムグリーンのイメージが定着するとともに、その強さから「グリーンモンスター」と呼ばれるようになった。
……と、目立つためにライムグリーンを選んだカワサキだが、じつはそれ以前のイメージカラーは「エンジっぽい赤」。1960年代初頭のモトクロッサーは“赤タンク”と呼ばれ、当時のライダーの憧れだった。またロードレーサーは“赤×白”のツートーンで、コレはコレでけっこう洒落ていた。
赤系のカラーが多かったカワサキ
カワサキの市販バイクは、近年はNinja ZXシリーズをはじめ最初からライムグリーンがラインナップされるが、かつてはエポックなバイクの初登場時はライムグリーンは設定されず、むしろ赤系のカラーが多かった(W1、Z1/2、Z400FX、GPZ900R、ZEPHYR等々)これは赤がイメージカラーだった名残なのだろうか? また、ZRX1100&1200シリーズもライムグリーンイメージが強いバイクだが、初期型にライムグリーンの設定はなかった。
そして蛇足ながら、ライムグリーンの由来について「東京の山手線の電車のウグイス色の塗料を大量に用意し過ぎて余ったため」というウワサもあったが、これはまったくの与太話。山手線の車両を川崎重工が作っており、1960年代前半からウグイス色に変わったタイミングから、電車好きバイク好きの誰かが創作したのだろう……。
1969年 A7RS
初めてのライムグリーン
1966年 A1R
ライムグリーンの前は、特徴的なエンジ×ホワイトがカワサキのイメージカラーだった
1969年 H1R
1979年 KR250
1979年 KR350
1981年 KR1000
1982年 KR500
1982年 KZ1000S
1984年 KX125SR
2008年 ZX-RR
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