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なぜギヤ抜けするのか?【ライドナレッジ099】

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Shutterstock,藤原 らんか

ハーフストローク操作が誘発するギヤ抜け

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ギヤ間のシフトフォークが横スライイドでギヤチェンジする

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ハーフストロークでスライドが送りきれないとギヤ抜けする

発進してローから2速とか、もしくは3速から4速へシフトアップしたとき、エンジンがワ~ンと空吹かしになって、ギヤがどこにも入っていない、つまり駆動できず加速してない状態に陥る経験をしたことがあるはず。
原因はラフな操作でハーフストロークになっている場合がほとんど。

チェンジペダルをつま先で掻き上げる操作は、慣れるまで親指つけ根の皮膚が剥けたり、意外な辛さでギヤチェンジしたくないところまで陥っても不思議はない。
この辛さや痛さを経験すると、つま先のシフトペダル操作が「逃げ」がちな角度になりやすい。
そこでつま先が外を向いていないか、まずはそこからチェック。痛さを逃げて足首から斜めに操作すると、掻き上げた最後がペダルから遠くなり、この曖昧さがギヤを次へ送り込めない中途半端な結果となりやすいからだ。

実はギヤチェンジはワンストロークではない。エンジンが止まった状態で、手でチェンジペダルを操作してみるとわかるのだが、常時噛合式というバイクならではの構造のため、ギヤがホールド状態から抜けてどこにもシフトされていない瞬間を経て、次のギヤへホールドされるという、シフトの動きにはこの3段階がある。
エンジンが止まっていると、車体を前後に動かしながら操作しないとギヤが変わらないことがあるが、そこでも3段階は実感できるはず。つまりカッチリとホールドされるまで送り込むのが大切というワケだ。

シフトペダルにつま先が触れた状態から操作

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つま先が外を向いていたり、シフトペダルからつま先が離れた状態から操作するとチェンジミスを誘発しやすい

常時噛合式のミッションは。ギヤの歯車どうしの噛み合いが変わるのではなく、ギヤは噛み合ったまま側面にある凹凸にドッグという突起が出たり入ったりして変速する。
これが出たところで次に入ってない位置だとニュートラルと同じく駆動できない。
このギヤをスライドさせるシフトフォークは、シフトドラムが回転しながら溝でフォークを横スライドするが、つま先を勢いで動かす操作だと送りきれずにハーフストロークで止まってしまいやすい。

シフトペダルはつい上から叩くように操作しがち。確かにそのほうが簡単にチェンジできてしまうが、これがシフトミスを誘発しているのを忘れないように。
確実な操作にはシフトアップもシフトダウンも、つま先をシフトペダルから放さず、触れた状態からカッチリと操作する。
またつま先を真っ直ぐ前に向けていると、窮屈なようで操作のストロークも短くミスを誘発しにくい。
素早いシフトはコーナリング中にギヤチェンジするときなど必要なので、小さくクイックな動きにできるようまずつま先を前に向けた丁寧な動きを身につけることだ。

これはクラッチを切らずにシフトアップ&ダウンができるクイックシフターでも同じことが起きるので、シフトペダル操作をラフに扱わないよう心がけておこう。